弁護士報酬基準

第3章 着手金および報酬金

第1節 民事事件

(民事事件の着手金および報酬金の算定基準)
第12条 本節の着手金および報酬金については,この基準に特に定めのない限り,着手金は事件等の対象の経済的利益の額を,報酬金は委任事務処理により確保した経済的利益の額をそれぞれ基準として算定します。
(経済的利益−算定可能な場合)
第13条 前条の経済的利益の額は,この報酬基準に定めのない限り,次のとおり算定します。

  • (1) 金銭債権は,債権総額(利息および遅延損害金を含む)。
  • (2) 将来の債権は,債権総額から中間利息を控除した額。
  • (3) 継続的給付債権は,債権総額の10分の7の額。ただし,期間不定のものは,7年分の額。
  • (4) 賃料増減額請求事件は,増減額分の7年分の額。
  • (5) 所有権は,対象たる物の時価相当額。
  • (6) 占有権・地上権・永小作権・賃借権および使用借権は,対象たる物の時価の2分の1の額。ただし,その権利の時価が対象たる物の時価の2分の1の額を超えるときは,その権利の時価相当額。
  • (7) 建物についての所有権に関する事件は,建物の時価相当額にその敷地の時価の3分の1の額を加算した額。建物についての占有権・賃借権および使用借権に関する事件は,前号の額に,その敷地の時価の3分の1の額を加算した額。
  • (8) 地役権は,承役地の時価の2分の1の額。
  • (9) 担保権は,被担保債権額。ただし,担保物の時価が債権額に達しないときは,担保物の時価相当額。
  • (10) 不動産についての所有権・地上権・永小作権・地役権・賃借権および担保権等の登記手続請求事件は,第5号,第6号,第8号および前号に準じた額。
  • (11) 詐害行為取消請求事件は,取消請求債権額。ただし,取消される法律行為の目的の価額が債権額に達しないときは,法律行為の目的の価額。
  • (12) 共有物分割請求事件は,対象となる持分の時価の3分の1の額。ただし,分割の対象となる財産の範囲または持分に争いのある部分については,争いの対象となる財産または持分の額。
  • (13) 遺産分割請求事件は,対象となる相続分の時価相当額。ただし,分割の対象となる財産の範囲およびその相続分について争いの無い部分については,その相続分の時価相当額の3分の1の額。
  • (14) 遺留分減殺請求事件は,対象となる遺留分の時価相当額。
  • (15) 金銭債権についての民事執行事件は,請求債権額。ただし,執行対象物件の時価が債権額に達しないときは,執行対象物件の時価相当額(担保権設定,仮差押等の負担があるときは,その負担を考慮した時価相当額)。
(経済的利益算定の特則)
第14条 前条で算定された経済的利益の額が,紛争の実態に比して明らかに大きいときは,弁護士は経済的利益の額を紛争の実態に相応するまで,減額することとします。
2 前条で算定された経済的利益の額が,次の各号の一に該当するときは,弁護士は経済的利益の額を紛争の実態または依頼者の受ける経済的利益の額に応じるまで増額することができるものとします。
  • (1)  請求の目的が解決すべき紛争の一部であるため,前条で算定された経済的利益の額が紛争の実態に比して明らかに小さいとき。
  • (2)  紛争の解決により依頼者の受ける実質的な利益が,前条で算定された経済的利益の額に比して明らかに大きいとき。
(経済的利益−算定不能な場合)
第15条  第13条により,経済的利益の額を算定することができないときは,その額を金800万円とします。
2 弁護士は,依頼者と協議のうえ,前項の額を事件等の難易・軽重・手数・時間および依頼者の受ける利益等を考慮して,適正妥当な範囲内で増減額することができることとします。
(民事事件の着手金および報酬金)
第16条 訴訟事件・非訟事件・家事審判事件・行政審判等事件および仲裁事件(次条に定める仲裁センター事件を除く)の着手金および報酬金は,この報酬基準に特に定めのない限り,経済的利益の額を基準としてそれぞれ次のとおり算定します。

経済的利益の額 着手金 報酬金
金300万円以下の部分 8% 16%
金300万円を超え,金3000万円以下の部分 5%

10%

金3000万円を超え,金3億円以下の部分 3% 6%
金3億円を超える部分 2% 4%

2 前項の着手金および報酬金は,事件の内容により,30%の範囲内で増減額することができることとします。
3 民事事件につき,同一弁護士が引き続き上訴事件を受任するときは,前2項にかかわらず,着手金を適正妥当な範囲内で増減することができます。
4 前3項の着手金は金10万円を最低額とします。ただし,経済的利益の額が金125万円未満の事件の着手金は,事情により依頼者との協議により金10万円未満に減額することができることとします。
(調停事件および示談交渉事件)
第17条 調停事件・示談交渉(裁判外の和解交渉をいう,以下同じ)事件および弁護士会が主宰する「仲裁センター」等の紛争解決機関への申立事件(以下,「仲裁センター事件」という)の着手金および報酬金は,この報酬基準に特に定めのない限り,それぞれ前条第1項および第2項または第20条項第1項および第2項の各規定を準用します。
ただし,それぞれの規定により,算定された額の3分の2に減額することができるものとします。
2 示談交渉事件から引き続き調停事件または,仲裁センター事件を受任するときの着手金は,この報酬基準に特に定めのない限り,前条第1項および第2項または第20条第1項および第2項の各規定により算定された額の2分の1とします。
3 示談交渉事件,調停事件または仲裁センター事件から引き続き訴訟その他の事件を受任するときの着手金は,この報酬基準に特に定めのない限り,前条第1項および第2項または第20条第1項および第2項の各規定により算定された額の2分の1とします。
4 前3項の着手金は金10万円(第20条の規定を準用するときは金5万円)を最低額とします。ただし,経済的利益の額が金125万円未満の事件の着手金は,事情により金10万円(第20条の規定を準用するときは金5万円)未満に減額することができることとします。
(契約締結交渉)
第18条 示談交渉事件を除く契約締結交渉の着手金および報酬金は,経済的利益の額を基準として,次のとおり算定します。

経済的利益の額 着手金 報酬金
金300万円以下の部分 2% 4%
金300万円を超え,金3000万円以下の部分 1% 2%

 金3000万円を超え,金3億円以下の部分>

0.5% 1%

 金3億円を超える部分

0.3% 0.6%

2 前項の着手金および報酬金は,事案の内容により30%の範囲で増減額することができることとします。
3 前2項の着手金は,金10万円を最低額とします。
4 契約締結に至り報酬金を受けたときは,契約書その他の文書を作成した場合でも,その手数料は請求しません。
(督促手続事件)
第19条 督促手続事件の着手金は,経済的利益の額を基準として次のとおり算定します。

経済的利益の額 着手金
金300万円以下の部分 2%
金300万円を超え,金3000万円以下の部分 1%
金3000万円を超え,金3億円以下の部分 0.5%

  金3億円を超える部分

0.3%

2 前項の着手金は,事件の内容により,30%の範囲内で増減額することができます。
3 前2項の着手金は金5万円を最低額とします。
4 督促手続事件が訴訟に移行したときの着手金は,第16条または次条の規定により算定された額と前3項の規定により算定された額との差額とします。
5 督促手続事件の報酬金は,第16条または次条の規定により算定された額の2分の1とします。
ただし,依頼者が金銭等の具体的な回収をしたときでなければ,これを請求致しません。
6 前項ただし書に規定する金銭等の具体的な回収をするため,民事執行事件を受任するときは,弁護士は前各項の着手金または報酬金とは別に,民事執行事件の着手金として第16条の規定により算定された額の3分の1を,報酬金として同条の規定により算定された額の4分の1を,それぞれ受けることとします。
(手形・小切手訴訟事件)
第20条  手形・小切手訴訟事件の着手金および報酬金は,経済的利益の額を基準として次のとおり算定します。

経済的利益の額 着手金 報酬金
金300万円以下の部分 4% 8%
金300万円を超え,金3000万円以下の部分 2.5% 5%
金3000万円を超え,金3億円以下の部分 1.5% 3%
金3億円を超える部分 1% 2%

2 前項の着手金および報酬金は,事件の内容により,30%の範囲内で増減額することができることとします。
3 前2項の着手金は,金5万円を最低額とします。
4 手形・小切手訴訟事件が通常訴訟に移行したときの着手金は,第16条の規定により算定された額と前3項の規定により算定された額との差額とし,その報酬金は第16条の規定を準用します。

(離婚事件)
第21条 離婚事件の着手金および報酬金は,次のとおりとします。ただし,同一弁護士が引き続き上訴事件を受任するときは,着手金を適正妥当な範囲内で減額することができます。


離婚事件の内容 着手金および報酬金
離婚調停事件・離婚仲裁センター事件
または離婚交渉事件
金20万円以上
金40万円以下
離婚訴訟事件 金30万円以上
金50万円以下

2 離婚交渉事件から引き続き離婚調停事件または離婚仲裁センターを受任するときの着手金は,前項の規定による離婚調停事件の着手金の額の2分の1とします。
3 離婚調停事件から引き続き離婚訴訟事件を受任するときの着手金は,第1項の規定による離婚訴訟事件の着手金の額の2分の1とします。
4 前3項において,財産分与・慰謝料など財産給付を伴うときは,弁護士は財産給付の実質的な経済的利益の額を基準として,依頼者と協議のうえ,第16条または第17条の規定により算定された着手金および報酬金の額以下の適正妥当な額を加算して請求することとします。
5 前各項の規定にかかわらず,弁護士は,依頼者と協議のうえ,離婚事件の着手金および報酬金の額を,依頼者の経済的資力・事案の複雑さおよび事件処理に要する手数の繁簡等を考慮し,適正妥当な範囲内で増減額することとします。
(家事審判事件の特則)
第21条の2 家事審判法第9条第1項甲類に属する家事審判事件(特別代理人の選任,子の氏の変更,後見人となるべき者の選任,離縁の許可,財産管理者の選任,臨時保佐人の選任,財産目録調査期間の伸長,管理計算期間の伸長,相続放棄,遺言書の検認,遺言執行者の選任,遺留分の放棄等)で,事案簡明なものについての弁護士報酬は5万円以上20万円以下の手数料のみとすることができます。
ただし,受任後,審理または処理が長期にわたる事情が生じたときは,第16条または第17条の規定により算定された範囲内で,着手金および報酬を受け取ることができることとします。この場合には,手数料を着手金または報酬の一部に充当するものとします。
(境界に関する事件)
第22条 境界確定訴訟,境界確定を含む所有権に関する訴訟その他境界に関する訴訟の着手金および報酬金は金40万円以上,金60万円以下とします。ただし,同一弁護士が引き続き上訴事件を受任するときは,着手金を適正妥当な範囲内で減額することができることとします。
2 前項の着手金および報酬金は,第16条の規定により算定された着手金および報酬金の額が前項の額を上回るときは,同条の規定によります。
3 境界に関する調停事件・仲裁センター事件および示談交渉事件の着手金および報酬金は,事件の内容により,第1項の規定による額または前項の規定により算定された額のそれぞれ3分の2に減額することができることとします。
4 境界に関する示談交渉事件から引き続き調停事件または仲裁センター事件を受任するときの着手金は,第1項の規定による額または第2項の規定により算定された額のそれぞれ2分の1とします。
5 境界に関する調停事件・仲裁センター事件または,示談交渉事件から引き続き訴訟事件を受任するときの着手金は,第1項の規定による額または第2項の規定により算定された額のそれぞれ2分の1とします。
6 前各項の規定にかかわらず,弁護士は,依頼者と協議のうえ,境界に関する事件の着手金および報酬金の額を,依頼者の経済的資力,事案の複雑さおよび事件処理に要する手数・時間等を考慮し,適正妥当な範囲内で増減額することができることとします。
(借地非訟事件)
第23条 借地非訟事件の着手金は,借地権の額を基準として,次のとおりとします。
ただし,同一弁護士が引き続き上訴事件を受任するときは,着手金を適正妥当な範囲内で減額することができることとします。

借地権の額 着手金

金5000万円以下の場合 金30万円以上,金50万円以下
金5000万円を超える場合 前段の額に金5000万円を超える部分 の0.5%を加算した額

2 借地非訟事件の報酬金は,次のとおりとします。
ただし,弁護士は依頼者と協議のうえ,報酬金の額を,事案の複雑さおよび事件処理に要する手数・時間等を考慮し,適正妥当な範囲内で増減額することができることとします。

  • (1) 申立人については,申立が認められたときは,借地権の額の2分の1を,相手方の介入権が認められたときは,財産上の給付額の2分の1を,それぞれ経済的利益の額として第16条の規定により算定された額。
  • (2) 相手方については,その申立が却下されたときまたは介入権が認められたときは,借地権の額の2分の1を,賃料の増額または財産上の給付が認められたときは,賃料増額分の7年分または財産上の給付額をそれぞれ経済的利益として第16条の規定により算定された額。
  • (3) 借地非訟に関する調停事件,仲裁センター事件および示談交渉事件の着手金および報酬金は,事件の内容により,第1項の規定による額または前項の規定により算定された額の,それぞれ3分の2に減額することができることとします。
  • (4) 借地非訟に関する示談交渉事件から引き続き調停事件または仲裁センター事件を受任するときの着手金は,第1項の規定による額の2分の1とします。
  • (5) 借地非訟に関する調停事件,仲裁センター事件または示談交渉事件から引き続き借地非訟事件を受任するときの着手金は,第1項の規定による額の2分の1とします。
(保全命令申立事件等)
第24条 仮差押および仮処分の各命令申立事件(以下,「保全命令申立事件」という)の着手金は,第16条の規定により算定された額とします。
但し,準備期間の長短等により増減することが出来るものとします。
2 前項の事件が重大または複雑であるときは,第16条の規定により算定された額の4分の1の報酬金を受けることができることとします。
ただし,審尋または口頭弁論を経たときは,同条の規定により算定された額の3分の1の報酬金を受けることができることとします。
3 第1項の手続のみにより本案の目的を達したときは,前項の規定にかかわらず,第16条の規定に準じて報酬金を受けることができることとします。
4 保全執行事件は,その執行が重大または複雑なときに限り,保全命令申立事件とは別に着手金および報酬金を受けることができるものとし,その額については,次条第1項および第2項の規定を準用します。
5 第1項の着手金および第2項の報酬金ならびに前項の着手金および報酬金は,本案事件と併せて受任したときでも,本案事件の着手金および報酬金とは別に受けることとします。
6 保全命令申立事件および保全執行事件の着手金は,金10万円を最低額とします。
(民事執行事件等)
第25条 民事執行事件の着手金は,第16条の規定により算定された額の2分の1とします。
2 民事執行事件の報酬金は,第16条の規定により算定された額の4分の1とします。
3 民事執行事件の着手金および報酬金は,本案事件に引き続き受任したときでも,本案事件の着手金および報酬金とは別に受け取ることとします。
ただし,着手金は第16条の規定により算定された額の3分の1とします。
4 執行停止事件の着手金は第16条の規定により算定された額の2分の1とします。
ただし,本案事件に引き続き受任するときは,同条の規定により算定された額の3分の1とします。
5 前項の事件が重大または複雑なときは,第16条の規定により算定された額の4分の1の報酬金を受けることができることとします。
6 民事執行事件および執行停止事件の着手金は,5万円を最低額とします。
(事業者の倒産整理事件)
第26条 事業者の破産・民事再生・特別清算および会社更生の各事件の着手金は,資本金・資産および負債の額ならびに,関係人の数等事件の規模に応じて定め,それぞれ次の額とします。
ただし,前記各事件に関する保全事件の弁護士報酬は次に述べる着手金に含まれます。

  • (1)事業者の自己破産事件    金50万円以上
  • (2)自己破産以外の破産事件   金50万円以上
  • (3)事業者の民事再生事件    金100万円以上
  • (4)特別清算事件        金100万円以上
  • (5)会社更生事件        金200万円以上

2 前項の各事件の報酬金は,第16条の規定を準用します。この場合の経済的利益の額は,配当額・配当資産・免除債権額・延払いによる利益および企業継続による利益等を考慮して算定します。
(非事業者の倒産整理事件)
第26条の2 非事業者の破産・民事再生(個人再生)の各事件の着手金は,それぞれ次の額とします。ただし,前記各事件に関する保全事件の弁護士報酬は次に述べる着手金に含まれます。
  • (1) 自己破産事件       金30万円
  • (2) 民事(個人)再生事件   金30万円以上50万円以下
2 前項の各事件の報酬金は,特に複雑な処理を要したなどの特段の事情がある場合に限り、前項の各着手金の範囲内で受け取ることができる。
(事業者の任意整理事件)
第27条 事業者の債務整理事件(以下,「事業者の任意整理事件」という)の着手金は,それぞれ次の額とします。
  • (1) 債権者1社につき,5万円として債権者数に応じて算定された金額とします。
  • (2) 前号の着手金は,金20万円を最低額とします。
2 前項の事件が清算により終了したときの報酬金は,債務の弁済に供すべき金員または代物弁済に供すべき資産の価額(以下,「配当原資額」という)を基準として,次のとおり算定します。 (1) 弁護士が債権取り立て,資産売却等により集めた配当原資額につき,

金500万円以下の部分 15%
金500万円を超え,金1000万円以下の部分 10%
金1000万円を超え,金5000万円以下の部分 8%
金5000万円を超え,金1億円以下の部分 6%
金1億円を超える部分 5%

(2) 依頼者および依頼者に準ずる者から,任意提供を受けた配当原資額につき,

金5000万円以下の部分 3%
金5000万円を超え,金1億円以下の部分 2%
金1億円を超える部分 1%

3 第1項の事件が,債務の免除・履行期間の猶予または企業継続等により終了したときの報酬金は,前条第2項の規定を準用します。
4 第1項の事件の処理について,裁判上の手続きを要したときは,前2項に定めるほか,本節の規定により算定された報酬金を受けることができることとします。
(任意整理事件)
第27条の2 非事業者の債務整理事件(以下,「非事業者の任意整理事件」という)の着手金は,それぞれ次の額とします。
  • (1) 債権者1社につき,3万円として債権者数に応じて算定された金額とします。
  • (2) 前号の着手金は,金5万円を最低額とします。

2 報酬金は,特に複雑な処理を要したなどの特段の事情がある場合に限り、前項の着手金の範囲内で受け取ることができる。
(任意整理事件 過払金の報酬)
第27条の3 非事業者の債務整理事件(以下,「非事業者の任意整理事件」という)において、利息制限法超過利率による貸付返済による過払金を回収した場合の報酬は、第16条の規定にかかわらず、次のとおりとします。

  • 訴訟によらず回収した場合・・・回収金額の15パーセント
  • 訴訟提起により回収した場合(訴訟上の和解等を含む)・・・回収金額の21パーセント
(行政上の不服申立事件等)
第28条  行政上の異議申立・審査請求・再審査請求その他の不服申立ならびに行政手続事件の着手金は,第16条の規定により算定された額の3分の2とし,報酬金は同条の規定により算定された額の2分の1とします。
ただし,審尋または口頭審理等を経たときは,同条の規定を準用します。
2 前項の着手金は,金10万円を最低額とします。

第2節 刑事事件

(刑事事件の着手金)
第29条 刑事事件の着手金は,次のとおりとします。
刑事事件の内容 着 手 金
起訴前 事案簡明な事件 金10万円以上,
金30万円以下
前段以外の事件 金30万円以上
起訴後
(第1審)
裁判員裁判対象事件で事案簡明な事件 >金15万円以上,
金30万円以下
前段以外の裁判員裁判対象事件 金30万円以上
裁判員裁判対象外の事件で事案簡明な事件 金10万円以上,
金30万円以下
前段以外の裁判員裁判対象外の事件 金30万円以上
上訴審 (控訴審および上告審をいう) 事案簡明な事件

金15万円以上,
金30万円以下
前段以外の事件 金30万円以上
再審事件 金50万円以上>
再審請求事件 金50万円以上

2 前項の事案簡明な事件とは,特段の事件の複雑さ,困難さまたは繁雑さが予想されないと見込まれる事件であって,起訴前については事実関係に争いがなく,委任事務処理に特段の労力または時間を要し無い情状事件,起訴後(上告審を含む)については事実関係に争いがない情状事件をいいます。
(刑事事件の報酬金)
第30条 刑事事件の報酬金は次のとおりとします。
刑事事件の内容 結 果 報 酬 金
事案簡明な事件 起訴前 不起訴  金30万円以上,
 金50万円以下
求略式命令 前段の額を超えない額
起訴後
(裁判員裁判対象事件)
刑の執行猶予  金30万円以上,
 金50万円以下
求刑された刑
が軽減された場合
前段の額を超えない額
事案簡明な事件 起訴後
(前段以外の事件)
刑の執行猶予  金30万円以上,
金50万円以下
求刑された刑
が軽減された
場合
前段の額を超えない額
上訴審 刑の執行猶予  金30万円以上
求刑された刑
が軽減された
場合
軽減の程度による
相当な額
前段以外の事件 起訴後
(裁判員裁判対象事件)
無 罪 金60万円以上
刑の執行猶予 金50万円以上

求刑された刑
が軽減された場合

軽減の程度による
相当な額
起訴後
(前段以外の事件)
無 罪 金60万円以上
刑の執行猶予 金50万円以上
求刑された刑が
軽減された場合
軽減の程度による
相当な額
  上訴審 (含再審事件) 無 罪 金60万円以上
刑の執行猶予 金50万円以上
求刑された刑
が軽減された
場合
軽減の程度による
相当な額
検察官上訴が
棄却された場合
金50万円以上
再審請求事件 再審開始の決定
がされた場合
金50万円以上


2 前項の事案簡明な事件とは,前条の事案簡明な事件と見込まれ,かつ結果において予想された委任事務処理量で結論を得た事件をいいます。
(刑事事件につき,同一弁護士が引き続き受任した場合等)
第31条 起訴前に受任した事件が起訴(求略式命令を除く)され,引き続いて同一弁護士が起訴後の事件を受任するときは,第29条に定める着手金を受けることができます。
ただし,事案簡明な事件については,起訴前の事件の着手金の2分の1とします。
2 刑事事件につき,同一弁護士が引き続き上訴事件を受任するときは,前2条の規定にかかわらず,着手金および報酬金を適正妥当な範囲内で減額することができます。
3 弁護士は,追加して受任する事件が同種であることにより,追加件数割合に比して1件あたりの執務量が軽減されるときは,追加受任する事件につき,着手金および報酬金を適正妥当な範囲内で減額することができます。
(検察官の上訴取下げ等)
第32条 検察官の上訴の取下げまたは免訴,公訴棄却,刑の免除,破棄差戻もしくは破棄移送の言い渡しがあったときの報酬金は,それまでに弁護人が費やした時間および執務量を考慮したうえ,第30条の規定を準用します。
(保釈等)
第33条 保釈・拘留の執行停止・抗告・即時抗告・準抗告・特別抗告・拘留理由開示等の申立事件の着手金および報酬金は,依頼者との協議により,被疑事件または被告事件の着手金および報酬金とは別に,相当な額を受けることができることとします。
(告訴・告発等)
第34条 告訴・告発・検察審査の申立・仮釈放・仮出獄・恩赦等の手続きの着手金は1件につき,金10万円以上とし,報酬金は依頼者との協議により受けることができることとします。

第3節 少年事件

(少年事件の着手金および報酬金)
第35条 少年事件(少年を被疑者とする捜査中の事件を含む。以下同じ)の着手金は,次のとおりとします。

少年事件の内容 着手金

家庭裁判所送致前および送致後 金30万円以上,金50万円以下
抗告・再抗告および保護処分の取消 金30万円以上,金50万円以下

2 少年事件の報酬金は次のとおりとします。

少年事件の結果 報酬金
非行事実なしに基づく
審判不開始または不処分
金30万円以上
その他 金30万円以上,金50万円以下

3 弁護士は,着手金および報酬金の算定につき,家庭裁判所送致前の受任か否か,刑事被疑者としての勾留の有無,非行事実の争いの有無,少年の環境調整に要する手数の繁簡,身柄の観護措置の有無,試験観察の有無等を考慮するものとし,依頼者と協議のうえ,事件の重大性等により,前2項の額を適正妥当な範囲内で増減額することができることとします。
(少年事件につき同一弁護士が引き続き受任した場合)
第36条 家庭裁判所送致前に受任した少年事件は,第4条の規定にかかわらず,家庭裁判所に送致されても1件の事件とみなします。
2 少年事件につき,同一弁護士が引き続き抗告審等を受任するときは,前条の規定にかかわらず,抗告審等の着手金および報酬金を,適正妥当な範囲内で減額することができます。
3 弁護士は,追加して受任する事件が同種であること,または従前の事件と併合して審理に付されることが見込まれることにより,追加件数の割合に比して1件あたりの執務量が軽減されるときは,追加受任する件につき,着手金および報酬金を適正妥当な範囲内で減額することができます。
4 少年事件が刑事処分相当として家庭裁判所から検察官に送致されたときの刑事事件の弁護士報酬は,本章第2節の規定によるものとします。
ただし,同一弁護士が引き続き刑事事件を受任するときの着手金は,その送致前の執務量を考慮して,受領済みの少年事件の着手金の額の範囲内で減額することができます。

第4節 特則

(民事事件の着手金の算定基準の特則)
第36条の2 民事事件の着手金については,第12条の規定にかかわらず,事件等の対象の経済的利益の額によることなく,事件の難易,内容,着手時期,回収見込み等を勘案して,弁護士と依頼者が協議の上定める方式によることもできるものとします。
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