※設例は、あくまでも公開された裁判例などをもとにした仮定のものであり、登場人物や事件の内容は、実際の事件とは一切関係ありません。
また、実際の相談が必ずこのように進むというわけでもありません。
相談を初めてしようと思っている方などに対して、あくまでも、弁護士がどんなことを尋ねるのかとなどについてイメージとしてお伝えしているものです。

※内容は、不定期・随時に更新しています。


藤原道夫さんの成年後見相談 5

その後,結局,裁判所からの連絡はなく,約1か月ほどすると,半蔵弁護士の下に,裁判所から書類が届きました。書類は,ミチさんについて,半蔵弁護士を成年後見人とする旨の成年後見の開始決定の審判書でした。特に問題ないと認められたため,鑑定や調査官調査もされなかったようです。半蔵弁護士は,道夫さんに審判が出たことを伝えました。
道夫さん

「思ったよりも早く裁判所の審判が出たようですね」

半蔵弁護士

「はい,これも,道夫さんが不備なく書類を集めて頂いたおかげだと思います。やはり,書類に不備があると,それだけ手続も遅れてしまいますから。」

道夫さん

「恐縮です。弟と妹にも,後見が開始されたということを伝えました。」

半蔵弁護士

「正確には」,この審判所が届いてから約2週間経過すると確定になります。その後,裁判所が法務局に連絡して,後見が開始されたという後見登記事項証明書が取得できるようになります。

道夫さん

「その後見登記事項証明書を取得出来るようになるのはいつ頃なのですか」

半蔵弁護士

概ね,確定してから2週間位になります。

道夫さん

「そうすると,開始の審判が出てから約1か月後に登記事項証明書が入手できるようになるのですね」

半蔵弁護士

はい,普通は,それから金融機関を回って届出するなど,後見人としての正式な活動を開始することになります。

道夫さん

「でも,急ぐケースなどもあるのではありませんか?」

半蔵弁護士

そうですね,そういう場合は,審判が確定したら裁判所に確定証明書という書類を発行してもらい,審判書と一緒に持参して,金融機関で手続きすることになります。でも,今回のケースではそこまで急ぐことはないのではないかと考えています。

道夫さん

「そうですね,分かりました。」

その後,半蔵弁護士は,後見人の仕事の内容などを道夫さんに改めて説明しました。
半蔵弁護士

「後見人というのは,あくまでもミチさん,つまりご本人のために仕事をしなければなりませんので,場合によっては,道夫さんはじめご親族の意向にはそぐわないこともあるかもしれません。」

道夫さん

「いえ,その点はよく分かっています。どうか,母のために宜しくお願いします。」

それから,審判も確定し,半蔵弁護士はミチさんの成年後見人として活動を始めました。むずほ銀行には通帳を再発行してもらうなどして手続きをしました。橘参与員から指摘された『ハイトウ』というのは,調べたところ,銀行に勧められた投資信託を持っていたようです。他にも,いくつか道夫さんたちも知らなかった口座が見つかったりなどしましたが,順調に後見業務は進んでいます。後見人の仕事の実際については,また改めて紹介することとし,とりあえず,藤原道夫さんの後見相談,申立についてはここまでと致しましょう(完)

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