※設例は、あくまでも公開された裁判例などをもとにした仮定のものであり、登場人物や事件の内容は、実際の事件とは一切関係ありません。
また、実際の相談が必ずこのように進むというわけでもありません。
相談を初めてしようと思っている方などに対して、あくまでも、弁護士がどんなことを尋ねるのかとなどについてイメージとしてお伝えしているものです。
※内容は、不定期・随時に更新しています。
「ああ,このビデオ,小林綾子が出ていますね。懐かしいな。」
「そうそう,おしんからずいぶん時間も経ちましたね。」
「小林綾子も大きくなったなあ」
「いやあ,このビデオに出ているような,通帳のチェックや領収書の管理は私には出来そうもありません。」
「いやいや,今回,書類をきちんと揃えて頂きましたし,後見人は道夫さんでも十分やれると思うのですが・・・」
「いいえ,やはり片手間にできるものではないと思いますし,第三者の方にきちんと管理して頂きたいというのが,私たちの総意なんです。しかし,ずいぶん待ちますね。」
「ええっと,もうかれこれ30分か。書類を確認しているのに時間がかかっているのでしょう。先日,別件で申し立てた際もこのくらいでしたから。」
「それでは,藤原さん,半蔵弁護士さん,お待たせしました。書類の確認が終わったので,今から少しお話を聞かせて頂きたいと思います。」
「はい、分かりました。」
「書類は拝見させて頂きました。お母さんの判断能力としては,記憶の程度がかなり落ちてきているようですね?申立書で書かれていること以外にも,何かエピソードのようなものはありますか?」
「そうですね,1年くらい前でしたか,町内会の旅行に行ったときに,自分の部屋に戻れなくなってしまったということを近所の方から伺ったことがありました。それと・・・・」
「お母さんは現在お一人ぐらいのようですが,今後はどこか施設に入所するとか,そういう話はあるのですか?」
「そうですね,子どもたちとしてはゆくゆくは施設でということも考えているのですが,今は自宅にいたいという本人の意志も割とはっきりしているので,ゆくゆくはというところですね。」
「なるほど。次に,財産の関係ですが,拝見したところ,財産目録に記載のある,むずほ銀行の通帳のコピーが資料として見当たらないようなのですが。。」
「ああ,むずほ銀行の通帳なのですが,どうも,それだけ見当たらないようなのです。キャッシュカードは母の財布の中にあるので,口座があるのは確実だと思うんですが・・・」
「そういうわけですので,むずほ銀行については,残高等も不明ですので,現時点で通帳コピーを思料して添付することができません。後見が開始した後に調査するということでお願いしたいと思います。」
「分かりました。あとの財産関係の資料は問題なさそうですね。次に,収支の関係ですが,収入としては,資料として年金機構のハガキのコピーをつけて頂いた年金のみですね?」
「はい,そうです」
「通帳を確認したところ,ほら,ここの月に『ハイトウ』という名目で8900円ほど振り込まれているのですが,これはなんだか分かりますか?」
「参与員,その件なのですが,私から藤原さんに質問して調べてみては貰ったのですが,良く分からないのです。これも,後見開始後に調べるということでいかがでしょうか。」
「そうですか,それでは,もし資料が見つかったようであれば追完してください。」
「今回の申立てについては,弟さんも妹さんも同意しておられるのですよね?」
「はい,そうです。子どもたちでも確認しましたし,半蔵弁護士さんからも確認の連絡をして頂きました。」
「分かりました。今後ですが,調査官の調査が必要ということになりましたら,ご連絡差し上げたいと思うのですが,宜しいですか?」
「分かりました。デイケアなどで出かけていることもあるので,事前に日時を調整させて頂けたらと思います。調査官による調査は必ずあるのですか?」
「それは,裁判官が決めることになっているのですよ。また,今回の診断書の内容からすると,特に鑑定は必要ないのではないかと私は思うのですが,これについても最終的には裁判官が決めることになっています」
「そうですか,分かりました。」
「どうも,今日はお疲れ様でした。先ほど,参与員も仰っていましたが,ミチさんのところに調査官が調査に来る場合には連絡が入りますので宜しくお願いします。」
「分かりました。その場合は,半蔵弁護士さんも立ち会われますか?」
「いや,今回は特にその必要はないと思っています。道夫さんとミチさんの都合で日時を決めて頂ければよいと思いますよ。」
「分かりました。」
「特に問題なく順調にいけば,1か月半くらいで開始の審判が出るはずですので,その際はまたご連絡します」
「分かりました。」