※設例は、あくまでも公開された裁判例などをもとにした仮定のものであり、登場人物や事件の内容は、実際の事件とは一切関係ありません。
また、実際の相談が必ずこのように進むというわけでもありません。
相談を初めてしようと思っている方などに対して、あくまでも、弁護士がどんなことを尋ねるのかとなどについてイメージとしてお伝えしているものです。
※内容は、不定期・随時に更新しています。
「今日もわざわざお越し下さって、有り難うございます。」
「いえいえ。あの後、私の家内とも話しをしましたし、弟や妹とも、半蔵弁護士さんから伺ったことをそのまま伝えましたが、やはり、皆、『最近のお母さんは少し様子がおかしいと思うから、成年後見制度を利用した方が良いのではないか』ということで意見は一致しています。」
「分かりました。それで、今日は、早速お願いしていた書類をお持ちくださったということでしたね。」
「はい、こちらにお持ちしました。」
「ええっと、まず一番大事な診断書ですが。。。この診断書を書いてくださった一条先生という先生がお母さんのかかりつけのお医者さんなのですか?」
「はい、そうです。先日半蔵弁護士さんのところに伺った日のすぐ後に定期診察の日があったので、母に同行して、その際に診断書のお願いをしました。一条先生は内科の先生なのですが、精神科でなくても大丈夫なのでしょうか?」
「ええ、先日もお話ししたかと思いますが、成年後見のための診断書を書いて下さる医師について特に診療科目は問われないことになっているのですよ。ええっと、この診断書によると・・・・」
「この診断書を見ると、お母さんの判断能力の低下は結構進んできているのかもしれないですね。」
「そうですね。。。気にはしていたつもりだったんですが、やはり、父が亡くなって一人になってから、進んでしまったみたいです。」
「ええっと、通帳のコピー、定期預金の証書、権利証のコピー、介護サービスの領収書、不動産の登記事項の証明書、固定資産税の納税通知書のコピー・・・・よくこれだけ揃えられましたね。」
「ええ、先日、母親の所に行った際にコピーを取ってきたんです。」
「通帳のコピーを取られたりすることについて、お母さん、特に嫌がりはしませんでしたか?」
「いえ、特にそういったことはありませんでした。一応、『コピー取るよ』と声を掛けましたが、『ああ、いいよ。』と言っていましたので。この辺りも、判断能力が落ちてきているのかもしれませんね。」
「不動産については、亡くなったお父さんの相続により、土地も建物もすべてお母さん名義になっているのですね」
「そうです。親父が亡くなった後、私たち兄弟でも話し合って、父と母が築いたものなのだから、母にすべて相続してもらったんです。」
「お母さんの収入としては、現在は年金だけですよね?」
「そうですね。いま、半蔵弁護士がお持ちの年金のハガキに記載されている通り、国民年金と亡くなった父の厚生遺族年金で、合わせて2か月で60万円位でしょうか。」
「預金の額なども考えると、老後には十分な年金額ですね。支出としては、現在は介護サービスでの支出が月額16万円くらいですね。」
「はい、ほかの支出としては、食費が4万円くらい、水道光熱費で月額3万くらい、医療費で1万円くらい、といったところでしょうか」
「それからっと・・・弟さんと妹さんからの『同意書』を頂いてきてくれたのですね?」
「はい、先日、母親のところに皆で集まった際に署名と押印を貰っておきました。」
「有り難うございます。一応、私からも、お手紙とお電話で、ご挨拶と成年後見制度の説明なども改めてしておきたいのですが、宜しいでしょうか?」
「はい、それももちろんです。弟と妹も、喜ぶと思います。」
「お母さんは、冷泉女学校を卒業されて、その後、鷹司銀行に勤められたのですね?」
「はい、そこで上司の勧めで、父親と見合い結婚したと聞いています。」
「今回の後見の申立ての動機としては、財産管理が主な動機ということで宜しいでしょうか?」
「はい。」
「ところで、現在、お母さんはお金を自分でおろしたり出来ているんでしょうか?」
「いえ、介護サービスなどの大きな支払いはすべて引落しですし、日常生活に必要なお金は、社会福祉協議会のサービスを使って小口の現金は預かってもらっているようです。」
「社会福祉協議会のサービスではそれほど大きなお金は預かってもらえないと思いますが、足りなくなったらお母さんが自分で銀行に行っているのでしょうか?」
「そうだと思います。社会福祉協議会の人に付き添ってあげ欲しいと言われて、私が呼ばれて銀行に付き添ったこともあります。」
「そうですか。それで、今度一度、私もお母さんの所に伺ってご挨拶したいと思っているのですが、大丈夫でしょうか?」
「ええ、もちろんです。ぜひお願いします。」