※設例は、あくまでも公開された裁判例などをもとにした仮定のものであり、登場人物や事件の内容は、実際の事件とは一切関係ありません。
また、実際の相談が必ずこのように進むというわけでもありません。
相談を初めてしようと思っている方などに対して、あくまでも、弁護士がどんなことを尋ねるのかとなどについてイメージとしてお伝えしているものです。
※内容は、不定期・随時に更新しています。
「半蔵先生、いま少年事件の被疑者の当番弁護の出動要請がありました。お願いできますか?」
「勿論ですよ。」
「少年の名前は伊達はじめ君で、年齢は17歳です」
「警察署はどこでしょうか?」
「はい、古宿警察署になっています。当番弁護を呼んだのが、お母さんで弁護士さんが接見に行く前に一度連絡をほしいということなので連絡してあげてください」
「分かりました。ところで、罪名はなんでしょうか?」
「はい、罪名は窃盗です。今から先生の事務所に当番弁護連絡票をファクスしますので、宜しくお願いします」
「もしもし、伊達ですが」
「ああ、伊達はじめ君のお母さんですか?私は半蔵弁護士という者ですが、弁護士会の当番弁護士で今からはじめ君の接見に行くところなんですが、事前に連絡がほしいということでしたので連絡を差し上げました。」
「あ、ありがとうございます。はじめが逮捕されたと聞いて、私、どうしてよいか分からなくて。警察の人に当番弁護のことを教えてもらってお願いしてみたんです。」
「はじめ君がどんなことで捕まったのかについては何か知っていますか?」
「警察の人もあまり詳しくは教えてくれなくてよく分からないのですが、どうも、今日の昼間に学校の仲間何人かでコンビニで盗みをしたらしいのです。」
「ところで、はじめ君は今17歳ですね?学校はどちらでしょうか?」
「はい、私立の東京船台工業の2年生です。」
「さきほど、昼間に学校の仲間と盗みをしたらしいということでしたが、学校に行っていなかったのでしょうか?」 宗子さん「はい、朝は普通に制服を着て出て行ったのですが、どうやら学校には行かなかったようです。。」
「今日は学校をサボったということらしいですが、こんなことは初めてなのですか?」
「はじめ君が学校をサボるようになったのはいつ頃からなのですか?」
「そうですね、中学2年くらいから少し生活が乱れだして、何とか今の高校に入って入学後しばらくはきちんと学校にも通っていたのですが、高校に入学した年の夏休みくらいからまた生活が乱れ始めてしまいました」
「お母さんからは注意はしていたんでしょうか?」
「私としては、気が付けば注意をしていたつもりなんですが。。」
「それで、はじめ君はお母さんの注意は聞いていたのでしょうか?」
「注意をすれば、一応『分かった』とはいうのですが。。。」 何となく歯切れの悪いものいいです。この辺りは、はじめ君本人からも聞いておく必要がありそうです。
「学校をサボることがたびたびあったようですが、今の学校から注意や指導はあったのですか?」
「もちろんありました。担任の先生がうちまで来てくれたこともあって、そのたびごとに『生活を治すようにする』とは言うのですが、友達に誘われると、どうしても断りきれないようです」
「はじめ君はこれまで警察に捕まったりしたことはありましたか?」
「いえ、逮捕されたのは今回が初めてです。ただ、深夜に公園などで騒いだりした補導されたということは何回かありました」
「ところで、ご家族のことをお尋ねしておきたいのですが?」
「はい、私は夫の伊達政治とははじめが小学生5年生の時に離婚しました。親権は私がもらって、今まで育ててきました。」
「ご兄弟姉妹はいますか?」
「はい、離婚した夫との間の既に独立して別居している息子が一人と8歳になる娘が一人います。」
「あのう、質問をしても宜しいでしょうか?」
「もちろんですよ、どうぞ。」
「はじめは、いつ頃出てこられるんでしょうか?警察のお話ではしばらくは出てこられないだろうということだったんですが。。。」
「そうですね、きょう逮捕されたということですので、また何も分からないのですが、今後勾留という手続が取られると最大で23日間、身柄拘束されるということになります。」
「ええ、、そんなにですか。。でも、そうすると何とか年末には家に戻れるのでしょうか?」
「う〜ん、それが、少年事件の場合、捜査が終わった後は、家庭裁判所で観護措置という別の身柄拘束のための手続が取られて、少年鑑別所に送られてしまうことが多いんですよ。」
「ええ〜!少年鑑別所ですか。それは刑務所のようのところなのでしょうか?」
「いえいえ、刑務所ではありません。その名のとおり、心理テストなどを行って少年の発育状況などを調べて、非行の原因がどこにあるのか、改善すべき点は何かということなどを少年鑑別所の少年技官という専門職が調べることになっているのです」
「少年鑑別所にはいつまで入れられているのでしょうか?」
「ほとんどの場合だいたい1か月です。」
「それでは、お電話ではとりあえずこのくらいにして、今から接見に行ってこようと思いますが、何かお伝えしておくことはありますか?」