※設例は、あくまでも公開された裁判例などをもとにした仮定のものであり、登場人物や事件の内容は、実際の事件とは一切関係ありません。
また、実際の相談が必ずこのように進むというわけでもありません。
相談を初めてしようと思っている方などに対して、あくまでも、弁護士がどんなことを尋ねるのかとなどについてイメージとしてお伝えしているものです。
※内容は、不定期・随時に更新しています。
「それでは,これから審理を始めます。」
「万引きをずいぶんとしていたようですね?」
「はい。申し訳ありませんでした。」
「いや,私に謝られても困るんですがね。」
「・・・・・・はい。」
「誰に謝らないとといけないんですか?」
「お店の人です」
「お店の人にどんな迷惑をかけたと思っているのですか?」
「・・・・・それは・・・お金を払わずに物を取ったりしたこと・・・・です。」
「お金を払わずに物を取っちゃうと,どんな迷惑がかかるのですか?」
「・・・・・」
「どうなんですか?」
「あ,はい・・・・お金を払わないと,お店が損をすると思います。」
「うん,お店はボランティアでやっているわけではないでしょう?」
「はい」
「万引きが原因でお店がつぶれてしまうといった話を聞いたことはありませんか?」
「・・・・・・・すみません」
「いやいや,すみませんではなくて,万引きが原因でお店がつぶれてしまうといった話を聞いたことはありませんかって聞いているのだけれども?」
「・・・・・・・知りませんでした」
「そういうこともあるんですよ。たかが万引きなんて思わないでください。」
「はい,すみませんでした。」
「それでは2,3点ほど。伊達君に質問だけど,今回一緒に使った片倉君たちとは,今後,どうするつもりかな?」
「はい,今回こういうことになって,よくない仲間だということが分かったので,今後は付き合いをやめるつもりです」
「片倉君,佐竹君,支倉君以外にも,つるんで遊んでいた仲間がいるね?彼らとはどうするの?」
「付き合いをやめるつもりです。」
「友達いなくなっちゃうんじゃないの?」
「・・・・はい。」
「どうするの?友達いなくなっちゃってもいいの?」
「はい,仕方ないと思います。また一から友達を作りたいと思います。」
「お母さんにお聞きしたいのですが,これまで,はじめ君の問題行動にきちんと注意してきましたか?」
「は,はい。私なりに注意はしてきたつもりなのですが・・・・」
「でも,結果的に今回の一件になってしまったところを見ると,今まで効果がなかったようですね。」
「本当に申し訳ありません。」
「なぜ,伊達君はお母さんの注意を聞かなかったのでしょうか?」
「私が離婚して,子供たちに寂しい思いをさせたりしたと思っていて・・・・思い切って注意ができなかったということもあったかもしれません。」
「それでは,これで審理を終えて,審判を言い渡します。」
「少年伊達はじめを東京保護観察所の保護観察に付する,以上が審判です。少年院に行ってもらうということも考えましたが,今回は最初ということもあり,少年院までは行かせず,自宅で更生してもらう,そういうことにしました。分かりましたか?」
「はい。」
「今回は,本当に有り難うございました。家に戻して頂けることになり,ホッとしました。これからきちんと注意して生活させたいと思います」
「色々とお疲れ様でした。また落ち着いたら連絡してください。」