※設例は、あくまでも公開された裁判例などをもとにした仮定のものであり、登場人物や事件の内容は、実際の事件とは一切関係ありません。
また、実際の相談が必ずこのように進むというわけでもありません。
相談を初めてしようと思っている方などに対して、あくまでも、弁護士がどんなことを尋ねるのかとなどについてイメージとしてお伝えしているものです。
※内容は、不定期・随時に更新しています。
「先日,幸男さんの代理人の平川弁護士と面談してきました。」
「有り難うございます。夫側はどのように言っていたでしょうか?」
「養育費の点については,先日も算定表について少し説明して頂きましたが,これを超える金額というのは,やはり,難しいのでしょうか?」
「そうですね,算定表については本当に実態と合致していのるかなどの批判があることはあるのですが,現実の家裁の離婚調停の実務ではこれに従って算定されているというのが実情です。これを超える金額,これを下回る金額というのは双方にとって難しいでしょうね。もちろん,特殊事情が有れば考慮されることはありますが。」
「そうですか。」
「現実的な選択としては,美幸ちゃんの年齢や実情に応じた分担額を求める,つまり,18歳になったら月額を14万円にすることを取り決めておくとか,進学時の費用はその都度分担するなどにしておくべき我と思います。」
「分かりました。保険の件については,学資保険と会社を通じて入っている生命保険については,私名義として継続するようにしたいと思います。」
「分かりました。ただ,会社を通じて加入している団体扱いの生命保険については,平川弁護士としては開始屋に確認するが継続できるかどうかは約束できないということでした。また,仮に継続できたとしても,団体扱いではなくなるので,保険料はアップするものと思います。」
「それと,私名義の預金通帳というのはこれは開示が必要なのでしょうか?」
「そうですね,財産分与というのは夫婦がそれぞれ保有している財産を分け合うということなので,相手方も開示する以上,こちらが拒むというのはなかなかし難いところですね。なにか,不都合がおありでしょうか?」
「いえ,そういうわけではないのですが,私が結婚前から働いて貯めたものも含まれているので,これも分与の対象になってしまうのはちょっと・・・」
「財産分与の対象となるのは,原則として,婚姻してから別居までの期間に夫婦で築き上げた財産ですので,結婚前に保有していたものについては,分与の対象にはなりません。」
「それで,妻側としては養育費月額14万円を求めたのですね?」
「ええ,そうです。算定表からしても大きく外れていましたので,私はお伝えするだけお伝えするということにして突っぱねました。」
「そりゃあ,払えるものなら払ってやりたいのはやまやまなのですが,やはり14万円というのはちょっと厳しすぎます。」
「一応月額8万円ということで検討するように求めています。」
「そうですか,その算定表というものに従った範囲内であれば,そのあたりは平川弁護士さんにお任せします。」
「分かりました。学資保険の契約名義を切り替える点についてはどうでしょうか?」
「ああ,それは勿論構いません。」
「学資保険の解約返戻金についてはお調べ頂けましたでしょうか?」
「はい,保険会社に問い合わせて,今解約したとして場合の金額は証明書を出してもらってきました。」
「この学資保険の解約返戻金の金額については,財産分与の際に考慮して実際のお金の受け渡しに反映させることにしましょう。」
「分かりました。それと,会社の組合に団体扱いの生命保険のことについて聞きましたが,やっぱり難しいようです。これまで団体扱いでの保険料で保障を受けていたため,今後保険料を上げるからそれでよいというわけにはゆかないようです。」
「分かりました。生命保険の分についても解約金については調べて頂けましたでしょうか?」
「はい,ただ,証明書までは発行されませんでしたので,口頭で聞いた金額ですが。」
「有り難うございます。この金額についても財産分与を算定する際の基礎としたいと思います。」
「ところで,昌子さん側からは厚生年金部分の年金分割について希望が出されましたが,これは宜しいでしょうか?」
「ええ,年金分割というのは話しでは聞いたことはありますが,あまり詳しくは分からないてすけれども。」
「そうですね,からなず,応じなければならないというわけではないのですが,家裁に持ち込んだとしても,半分づつの割合で分割されるというのが実務上の扱いです。もちろん,幸男さんがこれまで厚生年金保険料を支払った期間全部が分割対象になるわけではなく,婚姻してから離婚成立時までの期間が対象になります。」