※設例は、あくまでも公開された裁判例などをもとにした仮定のものであり、登場人物や事件の内容は、実際の事件とは一切関係ありません。
また、実際の相談が必ずこのように進むというわけでもありません。
相談を初めてしようと思っている方などに対して、あくまでも、弁護士がどんなことを尋ねるのかとなどについてイメージとしてお伝えしているものです。
※内容は、不定期・随時に更新しています。
「このたびは引き続きの相談ですみません。宜しくお願いします。」
「こちらこそ宜しくお願いします。昌子さんさんとの離婚を希望されているということで、1か月前から別居が始まったということでしたね。」
「そうです。妻との間では数年前から色々なことが積み重なってしまい、もう修復不能なところまできてしまいました。私が「ちょっと味付けが濃いな」と言ったら喧嘩になったということもありましたし、私がテレビを見ているのを気に食わなかったのか、私がテレビを見ている傍らでわざと大きな声で電話をしたりするので、喧嘩になったり。「今年はどちらの実家に帰省しようか」と言ったら、なぜか妻の気に障ったらしく、けんかになったりしたこともあります。とにかく、そんなことが色々と積み重なってしまって、ここ1年くらいでは、お互いほとんど口もきかなくなってしまいました。たまに口をきいてもけんかになってしまって「あなたなんかと結婚するんじゃなかった」とか酷いことも言われました。」
「なるほど、失礼ですが、幸男さんから昌子さんに暴力をふるったということはありませんでしたか?」
「暴力ですか。率直に言って喧嘩の際に叩いてしまったりしたことはあります。ただ、もちろん手加減はしているのですが。でも、逆に、私も妻から爪で引っかかれたり、鍋を投げつけられたりしたこともありますよ」
「なるほど。」
「それで、昌子さんとの間で、離婚自体については合意できそうなのでしょうか?」
「それは問題ないと思います。妻も、離婚したくて別居したのだと思いますし。こんな置手紙がありましたし。」
「これまで、昌子さんとの間で離婚について具体的に話し合ったということはないのですね?」
「はい、お互い、何となく話をするのを避けていたというか、面倒に思っていたこともあって。心のどこかで、決定的に終わってしまうのを恐れていたというのもあるのかもしれません。」
「幸男さんとしては、離婚を希望するということで宜しいのでしょうか?」
「はい、それは構いません。」
「別居後は、昌子さんと何か話したり、メールしたりしてはいないのですか?」
「はい、まったくありません」
「美幸ちゃんはまだ未成年なので、離婚に当たっては親権者を決めなければなりませんが、この点についてはどうお考えですか?」
「勿論、美幸は可愛い我が子だと思っていますが、何しろ年頃の時期にも入りましたし、私が親権者になるというのは難しかろうと考えています。」
「昌子さんが親権者ということで特に養育上の問題は生じないでしょうか?」
「はい、それは特に問題はないと思っています」
「養育費というのを支払わなければならないと聞いたのですが、これはどれくらいの金額になるのでしょうか?」
「そうですね。原則として、お子さんが成人に達するまで、場合によっては大学卒業までとか取り決めることもありますが、お子さんが養育を必要としている期間は、親として養育費を分担する義務があります。その具体的な金額については、実務上、養育費算定表という家庭裁判所が使用している早見表で算定していくことになります。幸男さんの場合、年収が額面で約650万円ということですよね?そうすると、仮に昌子さんの年収が0円と仮定して、15歳の美幸ちゃんのための養育費としては月額で8万円から10万円ということになります。」
「妻の年収を0と仮定ということですが、しかし、妻もいつまでも仕事をしないというわけにもゆかないだろうと思うのですが。」
「勿論そうですね。昌子さんがパートなどで働いて収入を稼ぐようになれば、算定表で昌子さんの年収もあてはめて金額を算出することになりますから金額は異なってきます。」
「今後の進め方の希望としては、どのようにお考えですか?」
「はい、私としても精神的にもすっきりしたい思っています。置手紙にもありましたが、妻は弁護士を立ててきて話し合いを希望してくると思いますが、私も平川弁護士にお願いしたいと思っています。私も日中は会社もありますし、妻との離婚の件を全部自分で処理するというのは、時間的にも精神的にも、ちょっと無理なので。」
「分かりました。」