※設例は、あくまでも公開された裁判例などをもとにした仮定のものであり、登場人物や事件の内容は、実際の事件とは一切関係ありません。
また、実際の相談が必ずこのように進むというわけでもありません。
相談を初めてしようと思っている方などに対して、あくまでも、弁護士がどんなことを尋ねるのかとなどについてイメージとしてお伝えしているものです。
※内容は、不定期・随時に更新しています。
「真田昌子さんの代理人の半蔵弁護士と申します。このたびは宜しくお願いします。」
「真田幸男さんの代理人の平川です。こちらこそ宜しくお願いします。」
「まず,離婚すること自体についてですが,この点は双方とも特に争いはないと理解しているのですが,どうでしょうか?」
「はい,そうですね。当方の依頼人である昌子さんは離婚を強く希望しています。」
「はい,幸男さんも離婚については異存ありません。」
「娘さんの美幸ちゃんの親権については,母親である昌子さんとして頂きたいと思っています。」
「親権についてもその通りで構わないと思っています。ただ,離婚したとしても父親であることには変わりがありませんので,面接交流の点についてはきちんと取り決めして頂きたいと思います。」
「分かりました。面接交流についての昌子さんのお考えについては改めて昌子さんにお尋ねした上で回答したいと思います。ところで,養育費の点についてですが,昌子さんとしては,今後の美幸ちゃんの教育費がかかることも考慮して月額14万円を希望しています。」
「それは承服しかねます。半蔵先生もご存じのとおり,養育費については家裁の算定表に基づいて算出すべきです。当方で予め調べたところ,昌子さんの収入を0円と仮定したとしても,現在の美幸ちゃんの年齢では月額8万円程度になるはずです。」
「もちろん,それは理解していますが,今後昌子さんもいつまでも実家というわけにもゆかず,アパートを借りるなどして家賃もかかってきますし,そのあたりの事情も考慮して頂きたいのですが。」
「ご希望は幸男さんにお伝えしますが,難しいと思います。」
「幸男さんとしては財産分与についてもきちんと半分づつで分けるということは了解しています。私が把握している夫婦の共有財産としては,@会社の財形貯蓄が約200万円くらいA幸男さん名義の預貯金(定期を含む)が300万円くらいB美幸ちゃんが生まれたときから加入している幸男さん名義の民間の学資保険の三つです。会社で入っている夫婦のそれぞれの掛け捨ての生命保険については掛け捨てですので,財産として分与対象に私ならないのではないかと思います。」
「そうですね,そうすると財産的価値のあるものについて価額を算出して半分づつ分けるという作業になりそうですね。それと,当方さんとしては,厚生年金部分の年金分割をお願いしたいと思います。」
「年金分割の点については承知しました。それと,当方としては,先ほども申し上げた通り,幸男さんとしては双方の財産をきちんと半分づつ分割したいと思っていますので,昌子さん名義の預金通帳の残高などについても開示して頂くようお願いいたします。」
「それと,先ほどの保険の点なのですが,昌子さんとしては学資保険は昌子さんを契約者に切り替えて保険料を支払い継続していきたいと思っており,手続をお願いすることになるかもしれません。また,会社で入っている掛け捨ての生命保険も継続出来るるようであれば継続をお願いするかもしれませんので,会社に確認しておいて頂けないでしょうか?」
「分かりました。学資保険の点は特に問題ないのではないかと思いますが,会社で入っている生命保険は団体扱いなので,継続できるのかどうかについてはお約束できません。」
「分かりました。それで結構です。」