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逸失利益に関するQA
PTSDについて問題となった裁判例についてはどのようなものがありますか?
次のような裁判例があります。 ・名古屋地裁平成19年11月21日(自動車保険ジャーナル1728号) 横断歩道を自転車で横断中に,右折自動車に衝突され,右陰嚢打撲等からPTSDを発症したとする26歳の男子について,DSM−W基準に照らしてPTSDを発症しているとは言えないとした(但し,本件事故が契機となったうつとの因果関係は認めて9級10号を認定した)。 ・仙台地裁平成20年3月26日(自動車保険ジャーナル1770号) タクシーに乗車中,衝突事故で頸椎捻挫等を負った40歳(症状固定時)の女子について,PTSDの診断は事故後2年半後に受信した病院で得ているとして7級相当のPTSDを主張を退け,9級の非器質性精神障害を認定した(回復可能性があるとして,労働能力喪失期間は10年間)。 ・札幌地裁平成23年5月30日(自動車保険ジャーナル1856号) 51歳の女性(職業有)が自転車に乗っていたところ,自動車と出合い頭に衝突し脳挫傷等で入院11か月,通院20カ月で,2級1号ないし3級3号のPTSD後遺障害を発症したと主張したが,診断根拠について記載がなく本件精神障がいがPTSDによるものとは認められないとして否認(精神障害の後遺症として9級10号,労働能力喪失率35パーセントを認めた。)。 ・東京地裁平成23年10月24日(自動車保険ジャーナル1863号) 61歳の主婦が横断歩道を自動車で横断中に,自動車に追突され,左大腿骨骨折等の傷害を負い,さらにPTSDを発症したとして少なくとも自賠責5級9号に相当する後遺症を負ったと主張した。 裁判所は,本件事故により自転車は横転し2回の手術をしなければならなくなったとしても,自転車の右側面に時速約5キロメートルの自動車が衝突したというもので,自転車や自動車の損傷もペダルの擦過傷,自動車のナンバープレートが擦過凹損した程度であり,DSM−W−TRやICD−10の診断基準を満たす外相的な出来事であると認めることは困難である。 原告の精神症状が明確に表れるようになったのは事故から約2年半経過後のことであるが,ICD−10の基準では「外傷後,数週から数カ月に亘る潜伏期間(しかし6か月を超えることは稀)を発症する」とし,「例外的に強い外相的出来事から6か月以内に起きたという証拠がなければ一般にはこの診断を下すべきではない」とされている。
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