逸失利益に関するQA
給与所得者の基礎収入額の認定についてはどのようになされますか?
1 給与所得者の場合,原則として事故前の現実の収入額を基礎とします。給与額には基本給の外,歩合給,各種手当,賞与も含みます。また,税金等を控除しない税込金額(額面金額)となります。 2 問題となるのは勤務先に定年制度がある場合です。 通常は,定年と共に退職しますので,その後の給与収入というのはなくなり,あとは年金の逸失利益の有無・内容ということになるわけです。 しかし,交通事故の被害者が,大企業などで一定の地位にあった給与所得者であった場合には,事故当時の会社を定年退職したとしても,関連企業への就職なども想定されますので,その場合には賃金センサスを利用したり,事故当時の年収を一定程度減額した上で,定年後の給与収入として認定することもあります。 ・57歳男子大学卒の銀行員の死亡逸失利益について,事故当時勤務していた銀行(事故当時の年収約783万円)は60歳定年であったが,定年後は嘱託として共済組合に出向し65歳まではその給与収入をえられていたものとして,65歳からの5年間について大学大学院卒の平均賃金である約662万円を基礎収入として認定した事例(名古屋地方裁判所平成23年4月1日 自保ジャーナル1853号169頁) 3 また,事故当時の給与水準をそのまま定年までの基礎年収として算定することは妥当でない場合もあり,公務員や大企業労働者など,将来の昇給がある程度確実に見込まれている者については,将来の昇給についても基礎収入として見込んだうえで算定することができます。 ・死亡当時安定した収入を得ていた被害者において,生存していたならば将来昇給等による収入の増加を得たであろうことが,証拠に基づいて相当の確かさをもつて推定できる場合には,右昇給等の回数,金額等を予測し得る範囲で控え目に見積って,これを基礎として将来の得べかりし収入額を算出することも許されるものと解すべきであるとした事例(最高裁判所昭和43年8月27日 判例時報533号37頁)
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