素因減額に関するQA

素因減額が問題となった裁判例としてはどのようなものがありますか?
次のような裁判例があります。 ・大分地裁平成2年2月22日(交民集23巻1号158頁) 衝突事故(顔面と下肢を負傷)の2日後にくも膜下出血を発症し,その翌日死亡した事案で,もともと脳動脈瘤が散在しており本件事故の受傷と入院等でのストレスが誘因となって破裂したとして,5割の素因減額を認めた。 ・最高裁判所平成8年10月29日(判例時報1593号58頁) 極端な肥満など通常人の平均値から著しくかけ離れた身体的特徴は格別,その程度に至らない身体的特徴は,個々人の個体差の範囲として当然にその存在が予定されているとして,交通事故の被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴を有していたとしても,それが疾患に当たらない場合には,特段の事情の存しない限り,被害者の右身体的特徴を損害賠償の額を定めるに当たりしんしゃくすることはできない ・平成22年3月5日(自動車保険ジャーナル) 原告は病識がなくコントロールの悪い糖尿病にり患していたが,糖尿病にり患していなかったら左肩化膿性滑液包炎を発症していなかったと言えるような事情はないとして,糖尿病による素因減額を否定した。 ・大阪地裁平成22年4月26日(自動車保険ジャーナル1833号) 軽四輪乗用車運転中に乗用車に追突され,その約6か月半後,今度は自動車に同乗中,貨物自動車に追突されたという事案で,第2事故の直前,救急車で入院後の因果関係のない髄核摘出手術,性格等の心因的要因,以前からの腰椎ヘルニア等があったとして5割の素因減額をした。 ・大阪地裁平成23年1月27日(自動車保険ジャーナル1856号) 米穀店の47歳男子が原付で進行中,追い越そうとした自動車に接触され「当たった」等の会話中に倒れた事案で,その原因は原告の脳動脈瘤が破裂したことによるくも膜下出血によるとし,本件事故態様も鑑みると,くも膜下出血は,事故のストレスのほか,本件事故前から存在していた悩動脈瘤も相まって発症したというべきであるとして5割の素因減額を認めた。 ・大阪地裁平成23年4月22日(自動車保険ジャーナル1856号) 61歳男子が運転する自動車が,酒気帯びで道路を逆走してきた被告車に衝突された事案で,原告には後遺障害等級11級7号,14級9号の各後遺障害が認められるが,本件以前から既往症としてヘルニアが存在し,これが後遺障害にある程度寄与したとして,2割の素因減額を認めた。 ・名古屋地裁平成23年7月1日(自動車保険ジャーナル1856号) 糖尿病のコントロールは糖尿病を患っている原告に手術を行わなければならなかったためにその必要が生じたものであり,本件事故と関係なしに純然たる糖尿病の治療というわけではないから,1か月の入院治療はすべて本件事故と因果関係のあるものと認める。 ・神戸地裁平成23年7月13日(自動車保険ジャーナル1863号) 症状固定時29歳女子の原告が14級9号の自賠責認定を受けた後提訴したが,事故9年前に頭痛で受診した病院で「脳動静脈奇形」と診断されていたことから,本件事故前に原告に類似の症状があったことを窺わせるとしても,原告の症状は本件事故に起因して生じたと推認できるとして素因減額を否定した。
【法律相談QA】
法律相談の時間の目安はどのくらいですか? メールで相談することはできますか? 法律相談の料金はいくらですか? 費用が幾らくらいかかるのか不安です


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