お問い合せ・ご相談
TOP
弁護士紹介
ブログ
成年後見
親族・男女問題
遺産分割、相続
不動産
交通事故
刑事事件
債務整理
債権回収保全
労働
消費者問題
会社法務
各種法律問題
個人情報
IT
手形小切手有価証券
ご費用について
個人情報の規約
アクセス
お問い合せ
成年後見
Q&A
模擬事例
ご費用・報酬
相談フォーム
成年後見・保佐・補助に関する裁判例
【裁判例】 成年後見人の善管注意義務2 東京高等裁判所 平成17年1月27日
成年後見人は、本人の財産を管理するにあたって善良なる管理者としての注意義務を負っています(民法869条、644条)。 本件は、旧法下の禁治産者の後見人に関する事件ですが、死亡した本人の五名の相続人のうちの3名の相続人が、本人の後見人であった弁護士に対し、本人の財産管理につき善良な管理者としての注意義務を怠り、他の相続人の1名が経営する株式会社に対して3億円を貸し付けたため、この回収が不可能となり、本人に3億円の損害を与えたなどと主張して、債務不履行に基づき、上記損害金3億円についての損害賠償を求めた事案です。 一審は弁護士である後見人に注意義務違反はないとして請求を棄却し、控訴されましたが,控訴審も、後見人であった弁護士について注意義務違反は認められないとして控訴を棄却しています。 弁護士が、きちんと調査した上で、裁判所ときちんと連絡を密にしていたことが判断に影響したものと思います。 後見業務の過程において、本人の親族らから本人の財産を借用したいとか本人の財産に担保設定して事業の資金繰りに回したいという相談を受けることがありますが、注意しなければなりません。 【事案の概要】(判決文から) 1 本人は大正5年12月1日生の女性の方です。昭和44年に、不動産の売買等を目的とする会社を設立し、本人も代表取締役に就任してホテル等の経営及び不動産の売買等の事業を展開していま した。しかし,本人は、アルツハイマー病に罹患したため、昭和59年、会社の代表取締役を辞任しました。 2 本人は、平成1年、家庭裁判所において禁治産宣告を受け、本人の夫がその後見人となりましたが(当時は,配偶者が後見人となることが定められていました)、ほどなくして,本人の夫の後見人の事 務を仮に停止し,本件で訴えられたA弁護士が本人の後見人職務代行者に選任され,その後、平成7年に、A弁護士が本人の後見人に選任されています。 本人は,平成8年に亡くなっています。 3 A弁護士が後見人の職務執行代行者を務めていた平成4年に,本人の子であり,本人が設立した前記の会社の代表者であったBが,家庭裁判所に対して,本人の定期預金を取り崩して4億円を融 通してほしいという上申をします。その理由は,本人の夫が後見人を務めていた際に,廉価で第三者に売却してしまった不動産を買い戻すために,その資金の不足分を用立ててほしいということでした。 4 裁判所は、Bを上記貸付金債務の連帯債務者又は連帯保証人とすることや,不動産につき本人を抵当権者とする抵当権の設定を受けることなどの具体的条件を付した上で,A弁護士が3億円を 会社に対し貸し付けることを許可しました。 5 ところが,その後色々な経緯はあったようですが,ともかくも結論として貸し付けた3億円が返済されなかったことから,A弁護士に対して訴訟が提起されました。 善管注意義務違反の内容としては,@3億円を貸し付けたことの外,A貸し付けた後,返済がされないまま回収することを怠ったということの2本立てになっています。 【コメント】 この件で,裁判所は一審も控訴審もA弁護士の善管注意義務違反を認めませんでしたが,当然と言えば当然と言えます。 A弁護士は,貸付けに当たって,「本人の看護費用などに出費が予想されるので慎重に判断してほしい」という意見を述べていたのですが,それにも拘らず裁判所が許可をしているという事情がありましたし,3億円貸付け後の本人の預金残高(約1.4億円)や不動産の担保価値,3億円の回収可能性についても調査しています。 これで,貸付けについてA弁護士に責任ありとされたら,怖くて後見人等はやっていられません。ただ,逆に言えば,ここまで調査しなければならないとも言えます。 また,貸し付けた3億円の返済が予定通りされないという事態となった後,A弁護士は,会社やBに対して返済を猶予した上で,会社を継続させてその中から回収を図ろうとしましたが,このことについても裁判所に報告して了解を得ていたとして,責任なしと判断されています。 この事件が起きたのは,平成1年から平成8年ころまでのことであり,このころは裁判所も具体的に条件を示して許可をするなどしていたようですが,少なくとも現在は「後見人の裁量」というキーワードの下,裁判所が具体的に後見人に対して何かを指示する,許可するということは少なくなってきています。 裁判所自身の具体的な判断を事前に示してもらえないことも多くなってきているわけで,後見人としてはより慎重に行動することが求められているともいえます。 【掲載誌】 判例タイムズ1217号272頁 判例時報1909号47頁
【法律相談QA】
法律相談の時間の目安はどのくらいですか?
メールで相談することはできますか?
法律相談の料金はいくらですか?
費用が幾らくらいかかるのか不安です
アンケート
アンケート
Q&A一覧に戻る
タイトル
メールアドレス
※
お名前
※
(全角)
お問い合わせ内容
個人情報規約
※
個人情報規約に同意する
個人情報規約はこちら
(注)このフォームは簡易お問い合せフォームです。一般的,簡単なご相談であればメールでご回答差し上げます(無料)。
「相談フォーム」
もご利用ください。