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成年後見・保佐・補助の裁判例
【裁判例】 保佐開始の審判申立権の濫用について判断した事例 大阪高等裁判所 平成18年7月28日
統合失調症の慢性期にあって自己の財産を管理処分するには常に援助が必要とされる状況にある本人について、本人の母親が保佐開始の審判申立をしたところ、家庭裁判所がその申立てが真意において本来の保佐制度の目的に適合せず,申立権の濫用であり,保佐人を選任する必要性は極めて乏しいとして,母親の保佐開始の審判の申立てを却下したところ、抗告を受けた大阪高裁は、次のように述べて、家裁の決定を取り消し保佐開始の審判をしました。 「記録によると,本人の母親は,保佐人に対し,本人と親族の間をとりもったり,社会的逸脱行動をしないよう本人の行動を監督する役割まで期待しているように窺えるところ,かかる期待には,保佐人が本来果たすべき役割を超えるものがあることは否定できないが,であるからといって,上記のような必要性が認められる以上,本件申立てが制度の趣旨に適合せず,申立権の濫用であると判断すべきではない。」 成年後見人等に対して過度の期待をされてしまうということは実務上ままあることですが、だからと言って成年後見等の開始について申立ての濫用とまで断じることはできないということです。 ちなみに、裁判所がわざわざ次のように述べていますので、この件では保佐人を見つけるのも大変であったようです。ご苦労様です。 「本件においては,保佐人就任を承諾する第三者を得ることが困難であったが,当審において,適任者の推薦を求めたところ,漸く,〇〇弁護士会から主文掲記の〇〇弁護士の推薦を得ることができた。そこで,同弁護士を本人の保佐人に選任することとする。」 【掲載誌】 家庭裁判月報59巻4号111頁
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