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後見監督QA
後見監督人の同意がなければ後見人が行えない行為がありますか?
1 民法864条は,「後見人が,被後見人に代わって営業若しくは第13条第1項各号に掲げる行為をするには,後見監督人があるときは,その同意を得なければならない。」と規定しています。 2 民法13条1項は保佐人の同意権に関する規定ですが,同項に規定されている行為は次のとおりです。 一 元本を領収し、又は利用すること。 なお,元本の領収については後見監督人の同意が必要とされていません(民法864条但書)。 普通預金から出金することは元本の領収行為ですので後見監督人の同意は必要ありません。 なお,普通預金や定期預金の口座自体の解約は元本の領収ではなく,元本の利用に該当し,後見監督人の同意を要するという有力な考え方があります。 二 借財又は保証をすること。 消滅時効完成後の債務の承認行為を「借財」と同視すべきとした大審院の古い判例があります(大正8年5月12日)。 三 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。 不動産は居住用不動産に限りませんので注意が必要です。 四 訴訟行為をすること。 民事訴訟において原告として訴訟することと解されています。被告して応訴する場合には,後見監督人の同意は必要ありません。 五 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法 (平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項 に規定する仲裁合意をいう。)をすること。 「和解」は裁判上の和解も,裁判外での和解も両方含みます。 六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。 七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。 八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。 これらの行為を目的とした請負契約を締結することを含みます。 九 民法602条に定める期間を超える賃貸借をすること。 602条の機関を超えないものであっても,借地借家法が適用される賃貸借契約を締結する場合には,更新されることが前提ですので,この場合は後見監督人の同意が必要であると解されます。 3 後見人が後見監督人の同意なく上記の行為を行った場合も,当然に無効となるわけではなく,後見人又は被後見人が取り消すことができるのに留まります(民法865条1項)。 後見監督人は取り消すことが出来ないので,後見人が行った行為について取り消すべきだと考えた場合,後見人に対して取り消すように促すということになります。
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