※設例は、あくまでも公開された裁判例などをもとにした仮定のものであり、登場人物や事件の内容は、実際の事件とは一切関係ありません。
また、実際の相談が必ずこのように進むというわけでもありません。
相談を初めてしようと思っている方などに対して、あくまでも、弁護士がどんなことを尋ねるのかとなどについてイメージとしてお伝えしているものです。
※内容は、不定期・随時に更新しています。
「このたびはお世話になります。このたび、工事をした請負代金を支払わない会社があって困っているのです。」
「こちらこそお世話になります。相手の会社は、大久保工業株式会社ということでしたね。それで、大久保工業から請け負った工事の請負代金が支払われないということですが、今回トラブルになっている工事はどんな内容だったのでしょうか?」
「はい、その点については、事前にご連絡頂いた通り資料を持参しました。」
「これは、西郷舗装と大久保工業との間の契約書ですね。ええっと、平成22年5月1日付ですね。工事の内容は、東京都千代田区内の駐車場の舗装で、発注者は民間企業になっていますね。」
「はい、請負契約書にも書いてありますが、工期は平成22年5月15日から8月31までの約3ヵ月間、請負代金は総額で1200万円です。少し特殊の舗装ということもあって相場よりも高めになっています。」
「1200万円の支払い方法はどうなっていましたか?」
「はい、これも契約書に記載のある通り契約時に300万円、あとは完成時に残金支払いということになっていました。」
「現時点で支払われていない代金はいくらでしょうか?」
「はい、それは、経理の私からご説明します。契約時の300万円については約束通り契約時に支払われました。支払われていないのは、残りの900万円のうちの500万円になります。」
「残金900万円のうちの400万円は支払われたのですか?」
「はい、請負契約書にも記載がある通り、完成時の900万円は、引渡後1カ月以後に支払うということになっていましたので、今回の場合は平成22年9月末が支払期限でしたが、大久保工業から支払われたのはその際の200万円だけで、その後は200万円が支払われたのみとなっています。」
「400万円しか支払わない理由について、大久保工業はどのように言っているのですか?」
「それが、本当にふざけた話で、私が大久保社長に問い合わせたところはじめは手違いだとかナントカ言っていたのですが、『実は、別の今回とは別の工事でトラブルがあってその補償をせざるを得なくなり、今回の件の発注者からの支払いをそちらに宛ててしまった。本当にすまないが少しだけ待ってもらえないでしょうか?」
「それは、本当の話なのでしょうか?」
「一応、どこの工事かと聞いたところ、千葉の方の工事だとか言っていましたが詳しくは分かりません」
「これは、去年の平成22年8月31日付のもので、西郷舗装がきちんと今回の工事をして大久保工業に引き渡したという内容のものですね。西郷舗装がした工事自体に大久保工業から『工事に問題がある』などのクレームはなかったですか?」
「それは全くありません。だからこそその引渡確認書も取り交わしています。」
「ええっと、今はもう平成23年の10月に入ってしまいましたが、今もって残りの分割金の支払いがされていないということなのですね?」
「はい、そうなのです。本来であれば昨月にすべての支払いが完了しているはずなのですが、、、それで、私の方からも請求の電話を入れたり、直接言ったりもしているのですが、『待ってくれ』というばかりでらちが明かないのです」
「覚書の分割支払いの約束が守られていないようなのですが、その間は請求はしてなかったのですか?」
「はい、もちろん請求はしていたのですが、私もこの件ばかりに関わっているわけにもゆかないので、放っておいたりしたこともあって、今になってしまいました。」
「社長、だから、私は早く半蔵弁護士に相談してほしいって何度も要っていたじゃありませんか!」
「う〜ん、それは私もそうは思っていたんだが。。ちょうど、私の郷里の鹿児島で知人の結婚式があったりしたもんだから・・」
「結婚式なんて関係ありませんヨ!あんなにお酒を飲む暇があったら・・・」
「いやあ・・」
「ま、まあまあ。それはそれとして、大久保工業のことについて伺いましょうかね。」