※設例は、あくまでも公開された裁判例などをもとにした仮定のものであり、登場人物や事件の内容は、実際の事件とは一切関係ありません。
また、実際の相談が必ずこのように進むというわけでもありません。
相談を初めてしようと思っている方などに対して、あくまでも、弁護士がどんなことを尋ねるのかとなどについてイメージとしてお伝えしているものです。
※内容は、不定期・随時に更新しています。
「このたびは、お世話になります。亡くなったお父様には大変お世話になっていました」
「いえいえ、生前、父も半蔵弁護士さんには大変お世話になったと申していました。」
「今回ご相談したいのは私が父から引き継いだ貸アパートの201号室を貸している北条一郎という賃借人の件です。今が平成22年10月ですが、5月からの家賃が全く支払われていないのです」
「契約書はお持ちになりましたか?」
「はい、これです」
「北条が家賃の支払いを滞ったというのは、今回が初めてなのでしょうか?」
「いえ、以前にも家賃の支払いが遅れたりということはたびたびありました。」
「家賃の支払いは振込ですか?」
「はい、貸アパートの名前が里見荘というのですが、里見荘家賃振込口という専用の口座を作って、すべての賃借人さんにその口座に振り込んでもらっています
「なるほど、その口座を見れば支払いが遅れたかどうかということがすぐにわかるのですね?」
「はい、父が亡くなったのが平成20年11月でしたが、それ以前もそのあともずっとこの口座で管理しています。」
「以前の滞納というのはいつ頃のどんな状況だったのでしょうか?」
「はい、事前に連絡したさいにまとめてきてほしいと言われていましたので、簡単に表にしてみました」
「北条はこれまでにも家賃を滞納していたようですが、退去は求めなかったのですか?」
「う〜ん、そうですね。これまでは遅れながらも家賃を払っていましたし、父もそんなにうるさく言わなかったということはあったと思います。私は、『そんなんじゃだめだから、早く出て行ってもらった方がいい』とは言っていたのですが。」
「お父様がなくって、里見さんが管理を引き継いだ後も家賃の滞納はあったのですか?」
「はい、父が平成20年11月に亡くなり、今年の平成22年2月1日に契約更新するまでは家賃滞納がなかったのですが、更新した後の5月分から滞納が始まってしまいました。」
「支払いの督促は誰がどのようにしていたのですか?」
「私が電話をかけたり、直接部屋に行ったりして督促していました。」
「北条はどんな対応だったのですか?」
「はい、初めのうちは『もう少し待ってください』とか言っていました。それでも支払いがないので、私が強く言うと、『仕事がうまくいっていない』『亡くなったお父さんは待ってくれていた』とか言い出して、ここ1か月くらいは私が電話しても呼び鈴を押しても出ない状態になってしまいました」
「ところで、最初の賃貸借契約書にもその後の更新契約書に連帯保証人の記載がありませんね、これはどういうことですか?」
「う〜ん、その点も私の父が人が良いというのか。。お恥ずかしいのですが、父が直接契約のやり取りなどもやっていたものですから、最初から連帯保証人を取っていなかったようなのです」
「平成18年にお父様が亡くなった後は里見さんが引き継いだのですよね?更新契約の際は連帯保証は求めなかったのですか?」
「はい、求めはしたのですが、最初から連帯保証が付いていなかった弱みで、あまり強くも言えずにズルズルとこれまで来てしまいました」