調停離婚・裁判離婚の手続に関するQA

不貞行為を理由として夫に対し離婚を求めるとともに,夫との不貞行為を行った女性に対する慰謝料請求についても一緒に家庭裁判所で審理してもらいたいと思いますが,可能でしょうか?
1 人事訴訟法において,人事訴訟に係る請求(夫に対する離婚請求)と当該請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求とは,一の訴えですることができ,この場合においては,当該人事訴訟に係る請求について管轄権を有する家庭裁判所は,当該損害の賠償に関する請求に係る訴訟について自ら審理及び裁判をすることができるものとされています(人事訴訟法17条1項)。 ここでいう損害賠償請求事件には,人事訴訟の当事者(夫婦)以外の第三者を当事者とする請求事件も含まれますので,お尋ねのケースでは,夫に対する離婚請求と,女性に対する慰謝料請求を一緒にして,管轄の家庭裁判所に対して訴訟提起することができます。 なお,女性に対する慰謝料請求については,家庭裁判所とは別に管轄の簡易裁判所又は地方裁判所も管轄権を有していますので,家庭裁判所に対する人事訴訟とは別個に提起することも可能です。 2 また,人事訴訟法17条2項では,既に人事訴訟が継続している家庭裁判所に,後から関連損害賠償請求訴訟を提起することもできるとされていますので,夫に対する離婚訴訟が先行している場合に,後から女性に対する慰謝料請求を提起することも可能です。 3 さらに,人事訴訟法8条では,家庭裁判所に係属する人事訴訟に係る請求の原因である事実によって生じた損害の賠償に関する請求に係る訴訟の係属する第一審裁判所は,相当と認めるときは,申立てにより,当該訴訟をその家庭裁判所に移送することができるものとされていますので,夫に対する人事訴訟(家裁)と女性に対する慰謝料請求訴訟(簡裁又は地裁)を別個に提起,係属している場合でも,後者を家庭裁判所に移送してもらうことも場合によっては可能です。
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