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【裁判例】 アメリカ合衆国ニューヨーク州の判決が送達についての要件を欠くとしてその承認が否定された事例 東京地方裁判所八王子支部 平成9年12月8日
1 外国裁判所の判決等は,当然に我が国での効力が認められるわけではなく,民事訴訟法118条に規定された要件をすべてクリアーした場合に,その効力が認められます。 2 国際的な子の奪い合いの事例において,子が日本に連れ去れた後に,残された親が外国裁判所に対し子の引渡しを求める申し立てをしたような場合,外国裁判所から適式な送達がなされない場合があります。 3 本件では,外国裁判所からの書類が,日本にいる被告宛の受領証付郵便で発送はされたものの,文書の翻訳文は添付されていませんでした。 裁判所は,外国判決を承認するための要件の一つである「訴訟の開始に必要なる呼出し若は命令の送達」があったというためには,通常の弁識能力を有する日本人にとって,送付されてきた文書が外国裁判所からの正式な呼出し若しくは命令であると合理的に判断できる体裁を整えたものでなければならず,そのためには,当該文書の翻訳文が添付されていることが必要であり,かつ,右文書の送付が司法共助に関する所定の手続を履践したものでなければならないと解すべきであるとしました。 そして,送達が有効になされたか否かについて、当事者が語学に堪能であったか否か、送付された文書を現実に受領し、その内容を十分理解していたか否か等、個々の事案の具体的事情に応じた利益を衡量して判断することは、後日の紛争を極力防止するために特に厳格な方式を要求している送達制度の本旨並びに多数の事件を一様に処理するために要請される訴訟手続の画一性及び安定性に反し、被告に応訴するかどうかの態度決定を迷わせることになるから相当とはいえないとしました。 そして,本件では,この要件を各ものとして,外国裁判所による子の引渡しを命ずる判決について承認できないものとしました。 【掲載誌】 高等裁判所民事判例集46巻3号98頁 家庭裁判月報46巻6号47頁 判例タイムズ835号132頁
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