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離婚に伴う子どもの問題
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)の概要はどのようなものですか?
1 平成24年(2012年)3月現在、日本は未加盟ですが、国際的な子の奪い合いに関して定めた条約として、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)があります。 ハーグ条約は1980年に採択された条約で、現在、欧米先進国を中心に約90カ国程度が加盟しています。 政府は、平成23年5月、ハーグ条約に加盟に向けた準備をするための閣議了解を決定しています。 2 ハーグ条約は、16歳未満の子が、子の常居所地国から他国に移動又は留置された場合に、その移動又は留置が子の常居所地国の法によれば監護権の侵害に当たるときは、「不法」であるものとして、子の常居所地国に迅速に返還すべきことや、国家間の協力などを定めた条約です。 特徴として、監護権を侵害された親が、自国の中央当局に対して子の返還の援助申請ができるとことです。ハーグ条約を締結していない国に子が連れ去られてしまった場合には、その国の司法手続きなどを経て子の返還を求めるしかありませんが、ハーグ条約加盟国間同士であれば、自国の当局を通じての返還が可能になるので、事情のよく分からない他国の司法手続を自ら取らなければならないこととと比較して、手続として簡易であるということがいえます。 ただ、子が任意に返還されない場合には、子が所在する国の司法機関に対し返還を命じてもらうための申立は、別途、しなければなりません。 当該国の司法機関に対し返還を命じてもらうための申立手続に、自国の当局がどこまで関与してくれるかについては、国によって温度差があります。 子の返還を求める申立を受けた司法機関(裁判所)は、@子が16歳未満であることA子が連れ去られる直前に所在していた常居所地国(ハーグ条約加盟国)の法令によれば親の監護権を侵害していることが立証されれば、原則として返還命令を迅速に決定しなければなりません。 自国の法令によって監護権の侵害の有無を判断するのではなく、子が連れ去られる直前にいた国の法令に照らして監護権の侵害を判断することになるということも、ハーグ条約の特徴になります。 ハーグ条約未加盟の現在においては、日本の裁判所は国際裁判管轄が日本にあると認められ、日本法を適用できる限り、日本法に依って監護権の決定等を判断しますが、ハーグ条約の締結により、同条約の締結国の国民からの子の返還の申立があれば、日本法ではなく、その外国の法令によって監護権の侵害の有無を判断するということになります。
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