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婚姻費用に関するQA
【裁判例】妻が共有財産である預金を持ち出し,これを払い戻して生活費に充てることができる状態にあり,夫もこれを容認している場合には,上記預金から住宅ローンの支払に充てられる部分を除いた額の少なくとも2分の1は,当分の間は夫が負担すべき婚姻費用の分担額に充て得るものであるから,現時点においては,夫に婚姻費用分担義務はないとして,夫に対し妻への婚姻費用の支払を命じた原審判を取り消し,申立てを却下した事例 札幌高等裁判所 平成16年5月31日
当事者の一方が別居に際して、夫婦の共有財産である預貯金や現金を持ち出した後、婚姻費用の分担を求めたところ、分担を求められた相手方から「持ちだした共有財産を婚姻費用(生活費)」に充てられるのだから、分担義務はない」という反論がされることがあります。 本件では、この点について判断し、持ちだした預金の少なくとも1/2については婚姻費用に充てられるのだから、現時点で婚姻費用の分担義務はないとしました。 本件では,別居に際し,妻が共有財産である約550万円の預金を持ち出して管理しており,夫も妻が上記預金から払戻しを受けて生活費に充てることを容認していたということから,妻はその生活費に充てるためにいつでもこれを払い戻すことができる状態にあったといえ,少なくとも持ちだした預金の2分の1は夫が妻に婚姻費用として既に支払い,将来その支払に充てるものとして取り扱うのが当事者の衡平に適うものとしました。 なぜ1/2かというと,持ちだした預金はあくまでも共有財産であるので,全体の1/2についてのみ妻の権利が認められ得るということです。 【掲載誌】 家庭裁判月報57巻8号94頁
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