有責配偶者からの離婚請求 QA

【裁判例】 同居期間約15年間、別居期間が約13年11カ月 未成熟子(高校生)がいる場合  最高裁判所 平成6年2月8日
本件では,離婚紛争中の夫婦間に未成熟子(高校生)がいたという点に特色があるものです。  【本件の概要】 1 昭和39年2月28日婚姻の届出をした夫婦の案件で,基準となる原審の口頭弁論終結時に一番下の子が孝行2年生でした。 2 夫は、会社の経営に行き詰まり、昭和54年2月に家出して行方不明となりました。   妻は、その後4人の子を育て、夫の帰りを待っていましたが、子らが幼いため仕事も思うようすることができず、自宅も競売に付され、ついに生活保護を受けるに至ってしまいます。 3 一方、夫は、昭和56年ころ,不貞行為の相手方である女性と知り合い、同58年に同女と同せいを始め、勤務先の会社には同女を妻として届け出ています。 4 妻は、昭和60年6月ころ、夫の状況を知り、夫に対して再三にわたり手紙や電話で積年の恨みの気持ちをぶつけ、自分のもとに戻ってくるよう強く求めます。   しかし,夫は、かえって妻への嫌悪感を募らせ、離婚して甲女と正式な婚姻生活に入りたいとする意思を一層固めるようになったということです。 5 昭和63年9月に夫に対し婚姻費用として毎月17万円(ただし、毎年7月は53万円、12月は65万円)の支払を命ずる家庭裁判所の審判がされた。その後、夫は、妻に対し、毎月15万円(毎年7 月と12月は各40万円)を送金していました。 6 夫は、いまや妻との同居生活を回復する意思を全く持っておらず、強く離婚を望み、離婚に伴う給付として700万円を支払うとの提案をしました。 【コメント】 未成熟子の存在について、最高裁は、「有責配偶者からされた離婚請求で、その間に未成熟の子がいる場合でも、ただその一事をもって右請求を排斥すべきものではなく、前記の事情を総合的に考慮して右請求が信義誠実の原則に反するとはいえないときには、右請求を認容することができると解するのが相当である。」と述べました。 そして、次のように述べて本件の有責配偶者である夫からの離婚請求を認めました。 未成熟子が高校2年生程度の年齢に達していることや、それまでの間きちんと養育のための送金を行っていたことなどが重視されています。 「妻が今日までに受けた精神的苦痛、子らの養育に尽くした労力と負担、今後離婚により被る精神的苦痛及び経済的不利益の大きいことは想像に難くないが、これらの補償は別途解決されるべきものであって、それがゆえに、本件離婚請求を容認し得ないものということはできない。そして、現在では、妻と夫間の4人の子のうち3人は成人して独立しており、残る三男は親の扶養を受ける高校2年生であって未成熟の子というべきであるが、同人は3歳の幼少時から一貫して妻の監護の下で育てられてまもなく高校を卒業する年齢に達しており、夫は妻に毎月15万円の送金をしてきた実績に照らしてDの養育にも無関心であったものではなく、夫の妻に対する離婚に伴う経済的給付もその実現を期待できるものとみられることからすると、未成熟子である三男の存在が本件請求の妨げになるということもできない」 【掲載誌】 家庭裁判月報46巻9号59頁        最高裁判所裁判集民事171号417頁        裁判所時報1116号27頁        判例タイムズ858号123頁        判例時報1505号59頁
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