有責配偶者からの離婚請求 QA

【裁判例】 同居期間約22年間、別居期間が約8年間というケースで双方の年齢や同居期間を考慮すると、別居期間が相当の長期間に及んでいるものということはできないとされた事例 最高裁判所 平成1年3月28日
【本件の概要】 1 本件夫婦は,昭和27、8年ころから同棲関係に入り、同30年4月5日婚姻の届出をしました。昭和30年から41年にかけて4人の子どもをもうけています。 2 夫は、かねて妻の家事の処理が不潔であり、経済観念に乏しく無駄な買い物が多く、それらを忠告しても改めようとしないことを厭わしく思うようになりました。   そして,昭和44年ころ、表向きは右借家が手狭であることを理由に、内心は妻との共同生活からの逃避を兼ねて、付近にアパートの一室を借り、同所で寝泊りをするようになり、その頃から両者間の性 交渉が途絶えました。 3 その後、夫は、昭和49年ころ、勤務先の部下であった女性とその夫が居宅を新築したことから、同人ら所有の旧居宅を借り受け、妻子とともに同所に転居し、妻との共同生活に復帰しました。   しかし、生活の実態としては,夫は、間もなく庭にプレハブの小屋を建て、自分はそこで寝泊りをするようになった。 4 夫の部下の女性は昭和51年に夫と離婚し、その後同女と夫は性関係を結ぶようになってしまいました。   そして、同53年には、夫は、同女への接近と妻からの逃避を兼ねて、前記新築の同女方の一間を賃借し、同所で生活するようになったが、同56年以降夫と同女との関係が深まり、同棲関係と見う  る状態になっったという事案です。 【コメント】 同居期間約22年間、別居期間が約8年間というケースです。 最高裁は、「夫と妻との別居が原審の口頭弁論終結時(昭和61年8月18日)まで8年余であり、双方の年齢や同居期間を考慮すると、別居期間が相当の長期間に及んでいるものということはできない」として、相当長期間の要件により、有責配偶者からの離婚請求を認めませんでした。 本件と似たような同居期間と別居期間,未成熟子の状況事案としては,平成2年11月8日の最高裁判決があります。本件では夫からの離婚請求が棄却されましたが,平成2年11月8日の判決では離婚請求が認容されています。 http://www.egidaisuke.com/legal_info/cat03/q6_09.php 結論を分けたのは,平成2年の件では不貞行為後に不貞行為の相手方とは別れていることや,その後の財産分与等の提案において誠意ある提案がされていることなどの事情であったと考えられています。 本件では,夫の行為は単に自らが一方的に妻を忌避し無責任であると評価できますし,財産分与などについての提案がされたという事情も全く窺えません。 有責配偶者からの離婚請求を考えるにあたっては,単に同居期間と別居期間を数量的に対比するのみでは足りないということになります。 【掲載誌】  家庭裁判月報41巻7号67頁        最高裁判所裁判集民事156号417頁        判例タイムズ699号178頁        金融・商事判例828号39頁        判例時報1315号61頁
【法律相談QA】
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