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有責配偶者からの離婚請求 QA
【裁判例】 別居期間が約30年に及び、同居期間や双方の年齢と対比するまでもなく相当の長期間であるとされた事例 最高裁判所 昭和62年11月24日
裁判所が認定した事実は以下のとおりです。同居期間約4年間、別居期間が約30年間というケースです。 【本件の概要】(判決文から) 1 昭和27年6月に婚姻した夫婦の事案です。夫婦間には昭和28年出生の長女がいます。 2 夫婦はともに小学校の教員をしていましたが,性格等の違いから家庭内は明るい雰囲気とはいえない状態であったようです。 夫は、飲食店の女店主と親密な関係になつたとの噂が広まつたことなどから,昭和31年4月、妻や学校関係者に行先を知らせず単身上京してしまいました。 3 そして,夫は、昭和32年の終わりころ、妻子のいることを明かしたうえ女性Aと付合いを始め、2、3か月ののちに同棲を始めてしまいます。 4 妻は、昭和33年春ころ、上京して夫のもとを訪ね、初めて夫とAの同棲の事実を知つて驚き、夫に元に戻つてほしいと懇願しましたが、夫は拒否します。 5 昭和48年ころ、妻は、既に東京で働いていた長女から勧められて小学校教員を退職して上京し、長女と同居することとなりましたが、その際、夫は、荷物の運搬を手伝つたり、種々の手続をするなどし て妻を援助し、その後も、妻らの借家の家賃を援助したりし、昭和55年には、長女が現在妻の住んでいる住居の購入に当たって資金負担したほか、昭和59年1月以降は、事実上長女の借り入れた住 宅ローンの支払いをしているという状況でした。 6 妻は、昭和56年春以来、年金収入により普通の生活をしていますが、病気がちで、現在では脳水腫に罹患にしていて、頭痛に悩されることがあり、また、夫の再三の離婚申入れに対し、結婚した以上 どんなことがあろうと戸籍上の夫婦の記載を守り抜きたいという気持からこれを拒否しつづけているというものです。 【コメント】 最高裁は、次のように述べて、有責配偶者である夫からの離婚請求を認めた原審の判断を是認しました。 「妻と夫との婚姻については、夫婦としての共同生活の実体を欠き、その回復の見込みが全くない状態に至つたことにより、民法770条1項5号所定の婚姻生活を継続し難い重大な事由があると認められるところ、夫は有責配偶者というべきであるが、妻と夫との別居期間は原審の口頭弁論終結時(昭和61年10月15日)まででも約30年に及び、同居期間や双方の年齢と対比するまでもなく相当の長期間であり、しかも、両者の間には未成熟の子がなく、妻が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が存在するとは認められないから、冒頭説示したところに従い、夫の本訴請求は、有責配偶者からの請求であるとの一事をもつて許されないとすべきではなく、これを認容すべきものである。」 【掲載誌】 家庭裁判月報40巻3号27頁 最高裁判所裁判集民事152号233頁 判例タイムズ654号137頁
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