有責配偶者からの離婚請求 QA

【裁判例】 最高裁が初めて有責配偶者からの離婚請求を認めた事案 最高裁判所 昭和62年9月2日
【本件の概要】(判決文より) 1 昭和12年2月に婚姻した夫婦の事案です。結婚当初は平穏な婚姻関係を続けていたようですが、昭和24年ころ,夫の不貞行為が発覚して不和となりました。   そして,同年8月ころ夫が不貞行為の相手方と同棲するようになり、判決当時まで別居の状態にあったということです。 2 妻は、夫との別居後生活に窮したため、昭和25年2月に、夫名義の建物を24万円で他に売却し(夫は同意済み)、その代金を生活費に当てたことがあるが、そのほかには夫から生活費等の交付を一 切受けていませんでした。 3 その後,妻は実兄の家の一部屋を借りて住み、昭和53年ころまで人形店に勤務するなどして生活を立てていたが、現在は無職で資産をもたない状態でした。   これに対して,夫は、精密測定機器の製造等を目的とする二つの会社の代表取締役、不動産の賃貸等を目的とする会社の取締役をしており、経済的には極めて安定した生活を送つています。 4 夫は、昭和58年12月ころ妻を突然訪ね、離婚に同意するよう求めたが、妻に拒絶されたので、同59年東京家庭裁判所に対し妻との離婚を求める旨の調停の申立をし、これが成立しなかつたので、 本件訴えを提起したというものです。なお、夫は、右調停において、妻に対し、財産上の給付として現金100万円と油絵1枚を提供することを提案したが、妻はこれを受けいれなかつた。 【コメント】  不貞行為の父親と同棲し子供も受けている一方で、生活費を妻に渡すということもしておらず、ずいぶん身勝手な夫です。  従来からの判断枠組みでは絶対に夫からの離婚請求は認められないという事案で、現実に原審も夫からの離婚請求を認めませんでしたが、最高裁判所は大法廷を開いて、従来からの判例を変更しました。そして、この事案において、相当長期間の条件と夫婦間に未成熟子がいないことの要件は満たすとした上で「父親配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情」の有無について審理させるために原審に差し戻しました。  「有責配偶者からされた離婚請求であつても、夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、その間に未成熟の子が存在しない場合には、父親配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められない限り、当該請求は、有責配偶者からの請求であるとの一事をもつて許されないとすることはできないものと解するのが相当である。」 【掲載誌】  最高裁判所民事判例集41巻6号1423頁        家庭裁判月報39巻12号120頁        最高裁判所裁判集民事151号615頁        裁判所時報962号1頁        判例タイムズ642号73頁        金融・商事判例784号33頁        判例時報1243号3頁
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