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離婚原因に関するQA
【裁判例】 親族との不和2 東京地方裁判所 平成17年1月26日
【本件の概要】(判決文より) 1 平成8年に,婚姻した夫婦の事案です。 夫と妻の新婚生活は順調であり,妻が長女を懐妊,出産した後などは,多少の夫婦喧嘩はあったものの,おおむね円満な夫婦生活を送っていたと認定されています。 結婚記念日などには,長女を妻の母親に預かってもらい,夫婦2人で食事等に行ったりするなど,夫と妻の母親の関係も良好であったようです。 2 しかし,平成9年,夫婦が妻の母親が居住するマンションの部屋の直上にある部屋に転居した頃から雲行きが怪しくなってきます。判決では次のようなエピソードが挙げられています。 ・妻の母親はは,夫らがマンションに転居した後,孫の面倒を見るといっては,しばしば来訪するようになり,また,妻もそれを当然のように対応していたことから,夫は,妻の母親が夫婦生活に過度に介入しているとの思いを抱き,不快に感じていたが,人間関係を強いて荒立てたくないと考え,直接に不満や苦情を述べることはしなかった。 ・その後,夫は,妻の母親や妻に対する不満などから,妻とも相談のうえ,平成12年,新居を建築してに妻と長女とともに転居した。妻は,転居後に二女を出産し,2人の子らの育児の疲れなどから夫との間で摩擦は生じることはあったものの,基本的には従前どおりの家庭生活を送っていた。 しかし,新居に転居した後も,妻の母親が孫の世話などといっては新居に出入りし,また,平成13年8月ころからは宿泊することが増えたことなどから,夫は不満を抱いた。 ・夫婦は,例年,正月には揃って妻の母親宅に新年の挨拶に赴いていたが,平成14年の正月は特段の連絡も入れず訪れなかった。 そのため,妻の母親は,夫を自宅に呼び,挨拶や礼などの基本的儀礼は大事なことであるから今後留意した方がよいと説教した。その際,夫に対し,「あなたは挨拶ができない」「ここから落ちて死んでしまえばいい」「ばかだったら死ぬわけはないけれど」といったことを言った。 ・その後のいきさつもあり,夫は,もはや妻と妻の母親は信用できないとの思いを強くし,妻と通常の会話を交わすことは少なくなり,必要な用件のやり取りは,メモ書きの交換等で行うようになっていった。 【コメント】 上記のよう事情の下で、裁判所は夫から妻に対する離婚請求を認めませんでした。「夫婦間において,円満な婚姻関係の回復を期待することは不可能とはいえず,両者間の婚姻関係が,既に破綻しているとまでは認められないから,本件において,原,夫間に民法770条1項5号所定の離婚事由があるということはできない。」と判断しています。 仲の良い母親と娘というのはしばしばみられますが、この件は妻の母親と夫との間の不和が問題になった事案です。 親族との不和が離婚原因として主張されることは多いですが、裁判所としてはあくまでも夫婦の関係として修復可能かどうかを判断しようとする傾向が見て取ることができます。 【掲載誌】 公刊物未搭載
【関連QA】
【裁判例】 性格の不一致1 最高裁判所 昭和38年6月7日
【裁判例】 性格の不一致1 東京高等裁判所 昭和57年11月25日
【裁判例】 親族との不和1 東京高等裁判所 平成1年5月11日
【裁判例】 虐待・DV 東京地方裁判所 平成17年3月15日
【裁判例】 親族との不和3 名古屋高等裁判所 平成20年4月8日
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