離婚に伴う財産分与・慰謝料に関するQA

【裁判例】 夫が将来(6年後)取得する退職金は財産分与の対象になるとして、これを現在の額に引き直ししたうえ、妻に対する精算金の支払いを命じた事例 東京地方裁判所平成11年9月3日
1 昭和58年に入社し,裁判時点から6年後の平成17年に退職予定の夫の将来の退職金について財産分与の対象となるかどうか,なるとしてその金額等について争われました。 2 裁判所は,退職金には賃金の後払いとしての性格があることは否定できないとして,退職金自体が清算的財産分与の対象となることは明かであるとし,さらに,将来退職金を受け取れる盖然性が高い場合には、将来受給するであろう退職金のうち、夫婦の婚姻期間に対応する分を算出し、これを現在の額に引き直したうえ、清算の対象とすることができるとしました。 この裁判例では,退職時点での退職金を算出した上で,夫婦の同居期間に相当する金額を割り出して,それを現在の金額に引き直すという考え方を採っています。 本件では,夫が現在の勤務先の会社に6年後の定年時まで勤務し、退職金の支給を受けるであろう蓋然性は十分に認められると認定されています。   3 929万円(6年後に想定される退職金額)×271か月分の147か月(退職時までの勤務期間総数/実質的婚姻期間)×0.74621540(6年のライプニッツ係数)×0.5(精算割合)=188万円   6年のライプニッツ係数としいうのは,将来受け取るべきものを現在受け取るので,6年分の金利(現在のところ年利5パーセント)を加味して減額するという考え方です(現在受け取った金額を年利5パーセントで運用して計算された将来の金額にしなさいというのと同義です)。   なお,裁判所は,6年後の退職ということを考えると不確定な要素を全く否定することはできず,退職金の現在額の算出に当たっては,現行市中金利からすると極めて高率の年5パーセントの中間利息を複利計算で控除しているし、929万円という退職金の額も夫の今後の昇給分を考慮しておらず、できるだけ控え目な額を算出したと付言しています。 4 本判決では,「離婚時点」での支払を命じています。   これは,夫にとっては退職金が出ていないのに支払いを命じられるわけで,夫にとって酷ではないかという批判もあるところです。夫に支払い能力があることが前提となるとの論評もあります。 【掲載誌】 判例タイムズ1014号239頁        判例時報1700号79頁
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