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離婚に伴う財産分与・慰謝料に関するQA
夫と離婚することになりました。夫はあと5年で定年退職する予定なのですが,この退職金については財産分与の対象とはならないのでしょうか?
1 退職金は賃金の後払い的な性格を有するものと考えられています。婚姻期間中の賃金は夫婦協同して得た収入であり,仮にそれが預金という形で蓄えられているのであれば,当然に財産分与の対象となるのですから,賃金の後払い的な性格を有する将来の退職金についても何らかの形で財産分与の対象とされなければ均衡を欠くことになります。 ただ,将来支給される見込みの退職金の場合,退職金が支給されるかどうかやその金額が不透明であることもあり,仮に将来の退職金を財産分与の対象として現在の支払を命じた場合に,将来退職金が支給されなかったり金額が想定よりも高低があった場合に不公平ではないかという問題があります。 2 この点,現在の実務の考え方は,「退職金が将来支給される蓋然性が高い場合」には,将来の退職金についても財産分与の対象となるというのが一般的です。 ただ,その場合でも,何年先であれば財産分与の対象となるのか,その場合にどのように金額を定めるのかなどについては確立していません。 ・退職が約7年後である場合に将来の退職金を財産分与の対象とした事例・・・水戸家庭裁判所竜ヶ崎支部平成9年10月7日(家裁月報50・11・86) ・退職が約9年後である場合に将来の退職金を財産分与の対象とした事例・・・名古屋高等裁判所平成12年12月20日(判タ1095・233) ・将来の退職金を現在の時点で清算の対象として支払を命じた事例・・・東京高等裁判所平成11年9月3日(判タ1014−239) ・現時点で支給されるであろう退職金金額を支給された時点で清算の対象とすした事例・・・水戸家庭裁判所竜ヶ崎支部平成9年10月7日(家裁月報50・11・86),東京高等裁判所平成10年3月13日(家裁月報50−11−81) ・直接の清算対象とせず財産分与の金額を判断する際の一事情とした事例・・・長野地方裁判所昭和32年12月4日(下民8−12−227)
【関連QA】
【裁判例】 夫が将来(6年後)取得する退職金は財産分与の対象になるとして、これを現在の額に引き直ししたうえ、妻に対する精算金の支払いを命じた事例 東京地方裁判所平成11年9月3日
【裁判例】 退職金を確実に取得できるかは未確定なことでありその金額も確定されてはいないとして,退職金が支給されたときに支給された退職金の1/2の支払を命じた事例 横浜地方裁判所平成9年1月22日
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