非正規雇用に関するQA

有期雇用の労働者の労働契約の終了についてどのような留意点がありますか?
1 期間の定めの点で見た場合労働契約には@期間の定めのないもの(正社員)とA期間の定めのあるもの(有期雇用)があります。 2 期間の定めのない労働契約(正社員)については,労働契約法16条によって解雇権濫用の法理が適用されます。 【労働契約法16条】 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。 3 これに対して,有期雇用について,契約期間の途中で終了させる場合には,「やむを得ない事由」がなければ契約解除,すなわち解雇することは出来ません(労働契約法17条1項)。 【労働契約法17条1項】 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。 4 有期雇用について,期間満了時に,使用者が更新拒絶して契約を終了させること(雇止め)については,特に制限があるわけではなく,いかなる場合でも雇止めを行うことができるかどうかについて判例上問題とされてきました。 (1)東芝柳町工場事件(最高裁昭和49年7月22日民集28巻5号927頁) 臨時工として期間2か月間の有期雇用労働契約を締結した労働者に対する雇止め(契約更新の拒絶)の有効性が争われました。 最高裁は,5回から23回にわたって労働契約の更新を重ねたのちに雇止めの意思表示がされた場合において,右臨時工が電気機器等の製造販売を目的とする会社に景気の変動による需給にあわせて雇用量の調整をはかる必要から雇傭された基幹臨時工であって,その従事する仕事の種類,内容の点において本工と差異はなく,その採用に際しては会社側に長期継続雇用,本工への登用を期待させるような言動があり,会社は必ずしも契約期間満了の都度直ちに新契約締結の手続をとっていたわけでもなく,また,従来基幹臨時工が2か月の期間満了によって雇止めされた事例は見当たらず,自ら希望して退職するものの外,そのほとんどが長期間にわたって継続雇用されているなどの事情があるときは,右雇止めの効力の判断にあたっては,解雇に関する法理を類推すべきであるとしました。 (2)日立メディコ事件(最高裁昭和61年12月4日集民事149号209頁,判時1221号134頁) 本件で,最高裁は,当初20日間の期間を定めて雇用しその後期間2箇月の労働契約を5回にわたり更新してきた臨時員の契約更新に当たって,更新期間の約一週間前に本人の意思を確認し,当初作成の労働契約書の「4雇用期間」欄に順次雇用期間を記入し,臨時員の印を押捺せしめていたといった事情から,上記東芝柳町工場事件にいう,「本件労働契約が期間の定めのない契約に転化したり,あるいは当事者間に期間の定めのない労働契約が存在する場合と実質的に異ならない関係が生じた」とは言えないとしました。 しかし,最高裁は,「その雇用関係がある程度の継続が期待されていた」場合には,雇止めの効力の判断に当たっては解雇に関する法理を類推すべきであるとしました。 ただ,本件の結論自体は雇止めを有効としています。 なお,雇止めの効力を判断すべき基準は,いわゆる終身雇用の期待の下に期間の定めのない労働契約を締結しているいわゆる本工を解雇する場合とはおのずから合理的な差異があるべきであるとも判示しています。 5 平成20年労働契約法改正 平成20年の労働契約法の改正により,上記の判例が示した2つの基準は労働契約法18条として成分化されることになりました。平成24年8月10日から施行されています。同日以降を初日とする期間の定めのある労働契約に適用されることとされています。 【労働契約法18条】(有期労働契約の更新等) 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。 一  当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。 二  当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。
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