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事業を営んでいる友人から「銀行から借り入れをするので,保証人になって欲しい」と頼まれ,銀行の担当者から友人の経営状態について尋ねたところ「特に問題はないと思う」と言われたので安心して保証人となったところ,友人の事業がダメになり銀行から保証人としての債務の履行を求められています。私は保証人として責任が生じるのでしょうか?
1 主債務者の資力があると思って保証したが,実際にはそれほどでもなく,主債務者が破産等してしまって,債権者から保証責任を追及されるという事例が多くあります。 このような問題は,法律的には,主債務者の資力や信用状態を勘違いしたこと(錯誤)が,保証契約を無効とする民法95条本文の錯誤に該当するかという問題として論じられています(主債務者の資力に関する錯誤)。 2 主債務者の資力や信用状態を誤解したことは,動機の錯誤とされ,動機の錯誤は原則として,意思表示(契約)を無効とする錯誤には該当しないというのが裁判所からの古くからの一貫した立場です。 但し,動機の錯誤も,その動機が外部に表示された場合には,例外的に意思表示(契約)を無効とする錯誤になるというのも古くからの裁判所の立場です(大審院大正3年12月15日)。 3 そこで,本問のように,銀行などの債権者から「主債務者の経営状態は問題ないと思う」というよな回答を得て安心して保証したという場合に,主債務者の信用が大丈夫だということから(動機),保証したとして,動機が外部に表示されているという理由で例外的に保証契約が無効とならないかどうかが問題となります。 これについて,裁判例は,動機の錯誤を認めたものもあれば否定したものもあり,結論がどうなるかについては事案ごとの事実の評価次第というところです。 保証契約締結の際に,銀行支店長が「今回の融資金額で秋頃までの決済資金として十分であり,十分に立ち直る。大丈夫ではない会社には融資しない」と言ったことから保証人となったが,保証契約の翌日に会社が倒産したという事案で,動機の錯誤を認めて保証契約を無効とした裁判例もあります(大阪地裁昭和62年8月7日判決)。 他方,銀行員が「主債務者の業種は流行業種であり,地区では指折りであるから心配ない」と言った事案では,動機として表示されたとは言えないとして保証人の責任を認めた事例もあります(東京地裁昭和50年1月30日)。
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