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名誉棄損罪に関するQA
【裁判例】 事実を真実と誤信したことにつき相当の理由がある場合と名誉毀損罪の成否 夕刊和歌山時事事件 最高裁判所昭和44年6月25日
1 この件は,夕刊和歌山時事という新聞を発行していた被告人が,和歌山特だね新聞という別の新聞社の記者が,経営者の指示のもとに,和歌山市役所土木部の課長に向かって『出すものを出せば目をつむつてやるんだが,チビリくさるのでやったるんや』と聞こえよがしの捨てせりふを吐いたうえ,今度は上層の某主幹に向かつて『しかし魚心あれば水心ということもある,どうだ,お前にも汚職の疑いがあるが,一つ席を変えて一杯やりながら話をつけるか』と凄んだという記事を掲載,頒布し,和歌山特だね新聞の経営者の名誉を棄損したという刑事事件でした。 和歌山特だね新聞の経営者が公務員をゆすったかのような記事を掲載したということです。 地元の新聞同士の諍いというわけです。 2 そして,ある証人が,「記事内容に関する情報を和歌山市役所の職員から聞きこみこれを被告人に提供した」と証言したところ,検察官が伝聞証拠である異議を申し立て裁判所もこれを認めました。 最高裁は,「刑法230条の2第1項にいう事実が真実であることの証明がない場合でも,行為者がその事実を真実であると誤信し,その誤信したことについて,確実な資料,根拠に照らし相当の理由があるときは,犯罪の故意がなく,名誉毀損の罪は成立しない」と判断しました。 そして,「記事内容に関する情報を和歌山市役所の職員から聞きこみこれを被告人に提供した」という証言は,議事内容が真実であるかどうかについては当該和歌山市の職員を尋問して聞かなければ分からないことであるから伝聞証拠だが,真実であることについて誤信したかどうかを判断するためであれば伝聞証拠ではないとして,証言部分を証拠から排除した原審の決定を違法として審理を差し戻しました。
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