窃盗罪に関するQA

【裁判例】 窃盗罪と占有離脱物横領罪3 最高裁判所 平成16年8月25日
前記の名古屋高裁と福岡高裁の事案は被害者が被害品について意識しているケースですが、被害者が置き忘れたというケースでも被害者の被害品に対する占有が認められ窃盗罪が成立するとされることもあります。 【事案の概要】 1 被害者は,公園のベンチに座って友人と話をするなどしていたのですが,おしゃべりに夢中になったのか,自分の傍に置いていたポシェットのことを失念してしまいます。   被告人は,刑務所を出た後ホームレスをしていて,置き引きを使用などと思っていたようなのですが,被害者がポシェットを置いたまま話に夢中になっているのを見つけて,もしそのまま立ち去ったらポシェット を取ってしまおうと思って,本を読むふりをしながら様子を伺っていました。 2 結局,被害者は,ポシェットをベンチ上に置き忘れたまま,友人と共にその場を離れます。   被告人は,被害者らが,公園出口にある横断歩道橋を上り,ベンチから約27mの距離にあるその階段踊り場まで行ったのを見たとき,ポシェットを取り上げ,公園内の公衆トイレ内に入り,本件ポシェッ トを開けて中から現金を抜き取りました。 3  被害者は,歩道橋を渡って約200m離れた駅の改札口付近まで2分ほど歩いたところで,ポシェットを置き忘れたことに気付き,ベンチまで走って戻ったものの,既に被告人に持ち去られてポシェットは 無くなっていたというものです。。 4 被害者の友人が貴店を聞かせて,被害者の携帯電話に掛けたところ,トイレ内で呼び出し音が鳴りはじめて,その場にいた被告人が捕まったという流れです。 【コメント】    最高裁は、「被告人が本件ポシェットを領得したのは,被害者がこれを置き忘れてベンチから約27mしか離れていない場所まで歩いて行った時点であったことなど本件の事実関係の下では,その時点において,被害者が本件ポシェットのことを一時的に失念したまま現場から立ち去りつつあったことを考慮しても,被害者の本件ポシェットに対する占有はなお失われておらず,被告人の本件領得行為は窃盗罪に当たるというべきである」として窃盗罪の成立を認めました。  被害者の被害品に対する認識が一時的に失われていたとしても,場所的,時間的にもまだ被害者の占有が失われていないということだと思います。 【掲載誌】 最高裁判所刑事判例集58巻6号515頁        裁判所時報1370号354頁        判例タイムズ1163号166頁        判例時報1873号167頁
【法律相談QA】
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