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【裁判例】 裁判員対象事件である傷害致死罪の事案について公判前整理手続が終了した段階における保釈を許可した事例 東京地方裁判所 平成22年4月7日
これまでの保釈実務からいうと、保釈が認められ難い案件ですが、裁判員裁判の導入により、公判前整理手続が集結した段階での保釈は認められやすい傾向が出てくると言われています。 「1 本件準抗告の趣旨及び理由は,被告人には,刑事訴訟法89条1号,4号所定の事由があり,裁量により保釈すベき事情もないから,原裁判を取り消し,本件保釈請求を却下するとの裁判を求めるというものである。 2 本件公訴事実(訴因変更後)の要旨は,被告人が,被害者に対し,その顔面等をげん骨で数回殴るなどの暴行を加え,よって,同人をびまん性軸索損傷により死亡させたというものである。 まず,本件においては,刑事訴訟法89条1号所定の事由がある。 また,一件記録によれば,本件では,被告人に傷害致死罪が成立することについては争われない予定であるものの,被告人の暴行態様及び量刑等については争いがある。本件が重大な犯罪であることからすると,被告人には,犯行態様の立証に重要な意味を持つ目撃者や,重要な情状に関して影響を及ぼす会社の関係者等に働き掛けるなどして罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があることは否定できない。 しかしながら,目撃者が第三者的立場にあることからすれば,被告人が目撃者に対する罪証隠滅工作をし,それが効を奏する可能性はそれほど高いとはいえない上,被告人には前科がなく,自衛隊員として長期間勤務していたなど身上関係が安定していること等の事情を考慮すれば,公判前整理手続が終結して公判期日まで2か月足らずの期間がある現段階において,目撃者等との接触禁止等の条件を付した上,保釈保証金額を500万円と定め,裁量により被告人の保釈を許可した原裁判は,その裁量権を逸脱した不当なものであるとはいえない。 3 よって,本件準抗告は理由がないので,刑事訴訟法432条,426条1項により,主文のとおり決定する。」
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