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借地 正当事由に関する裁判例
【裁判例】 賃貸人の家族との同居と正当事由 東京高等裁判所 昭和56年4月22日
地主は二世帯同居のために借地の返還を受けて家屋を建築したいと主張したのに対し、借地人は借地上の建物に居住している上に洋服仕立店を営んでいるとして主張しました。 裁判所は、次のように述べて、双方の必要性を比較検討し,地主の異議に正当事由はないとして、借地の明渡を認めませんでした。 【事案の概要】 1 地主が本件土地を必要とする事情について 地主は、地主夫婦や長女夫婦とも狭苦しい不便な生活を強いられているので、全員が同居できる独立の家屋で生活したいとして,本件土地を使用する必要があると主張しました。 しかし,地主は夫とともに本件土地の南隣のアパートの二部屋に居住しており,地主の長女夫婦は子供とともにそのアパートと並ぶもう一つのアパートに居住していましたが、訴訟係属中他の場所に転居しており,二世帯の同居を必要とする切迫した事情があるとは言えないと判断されました。 2 借地人側の本件土地使用の必要性 借地人は家族とともに本件建物に居住し洋服仕立業を営んでおり,仕入れ先などとの連絡のために本件場所で営業することが必要であるとし,場所的利益の少なくない本件土地から他に移転することは容易でないものと判断されました。 3 なお,地主は、借地人が希望するならば、代替家屋を賃貸提供する用意がある旨主張したのですが,、地主が作業所として提供するという本件土地の北西隣にある建物については,現在借地人が本件建物において作業所及び材料置場として使用している部分よりも狭く、借地人の洋服仕立業が従前より相当制約されるに至ることは明らかであるとして,地主主張の代替家屋の提供によつて本件建物収去土地明渡に伴う借地人の不利益が償われるとは認められないとしました。 【掲載誌】 判例タイムズ449号86頁 判例時報1004号67頁
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