借地 正当事由に関する裁判例

【裁判例】 賃貸人の家族の使用と正当事由 横浜地方裁判所 昭和57年12月24日
地主である賃貸人に明渡についての正当事由を認めて、賃借人から競売によって建物を取得した第三者に対して、立退金無しでの明渡を命じたという事案です。 【事案の概要】 1 原告である地主は,次のような事情を私的して,自らの家族が本件土地を使用する必要があると主張しました。  ・原告は本件土地の隣地上の建物に長女夫婦らと共に居住している  ・原告の長男は別の場所で家族と共に借家住いをしているが手狭であり,仕事柄,社交上、同僚、知人、学生等を自宅に招きたくても社会的地位に相応する住宅を他に求めることは経済的に困難な事情にある  ・原告の長男の妻は左眼球瘻、網膜剥離等の手術を受け、併発した白内障の手術を昭和54年に受けたが、現在でも左眼は辛うじて明暗が分る程度であり、右眼も葡萄膜炎兼近視性乱視であるほか虚弱体質で風邪にかかり易いので、日常家事も思うにまかせないため,看護が必要な状況にあるが,本件土地上に建物を建てて住むことで,隣地に居住する原告らにより、妻の看護や日常生活上  の諸々の援助も期待できて非常に好都合である 2 借地人である被告についての事情は次のようなものでした。  ・元来本件土地は原告の亡夫が職場の同僚であつた賃借人に対し居住のために使用する約束で賃貸したものであり,賃借人は別の場所に住宅を新築して居住するようになり、本件建物は第三者に賃貸してきた  ・本件建物は,競売によってら第三者に競落された 3 立退金の申出   原告は、借地人に対し契約期間満了後の本件土地の明渡しを求めて交渉を重ね、建物買取代金として金300万円の支払を提示したが、借地人から借地権価格相当分として金2000万円の支払を求められたので、話し合がまとまらなかつた。 4 以上認定の原告、借地人双方の諸事情を比較検討すると、原告の本件土地使用の必要性は借地人のそれに比して数段優るものと認められるとしました。   なお,原告(地主)は、長男の妻の病気の件を本件契約期間満了前の交渉の過程では全く主張せず,本訴提起直前に始めて主張したようですが,明渡交渉の過程において主張されていなかつたとしても関係ないことであるとしています。 【掲載誌】  判例タイムズ498号143頁
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