相続の承認・放棄に関するQA

【裁判例】 相続開始の約4か月後になされた限定承認が熟慮期間徒過を理由に無効とされた事例 東京高等裁判所昭和62年2月26日
被相続人は昭和60年6月8日死亡し,その当時,相続人らは被相続人と同居しており,その日のうちに被相続人の死亡を知りました。 そして,相続人らが限定承認の申述をしたのは,同年10月16日で,限定承認の熟慮期間である3か月を経過した後になされたものでした。 相続人らは,昭和60年6月16日頃、債権者の内の一人(被相続人の勤務先)から,被総則人の不正処理による不明金として約925万が見つかったので善処してほしいことを伝えられており,6月末には確定的な金額として551万を示されています。 被相続人には,外に約900万円の連帯保証債務などもありました。 裁判所は,このような事情の下では,相続人は遅くとも昭和60年6月末頃までには被相続人の諸債務の存することを知ったと認められるとし,相続人らが熟慮期間内に限定承認をしなかったのが、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためとは認められないのみならず,たとえ相続人らのうちにそのように信じた者がいたとしても、被相続人の生活歴、関係等からみて、そのように信じた相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があるなどとは到底いえないとして,限定承認の申述を無効としました。 【掲載誌】  判例時報1227号47頁
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