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遺留分に関するQA
【裁判例】 「遺留分権利者を害することを知って」なされた贈与か 東京地方裁判所 昭和51年10月22日
被相続人である元検察官の弁護士(判決によると,明治22年生まれで,婚姻後に任官し,地検検事正,高検検事長を歴任後、昭和21年退官,その後は東京都内で弁護士をしていた)の被相続人が、相続開始1年以上前に、女性に対し不動産を贈与したことについて、「遺留分権利者を害することを知って」なされた贈与かが問題になりました。 【事案の概要】 1 被相続人は昭和47年に83歳で死亡したのですが,昭和35年,36年に,被相続人は,妻以外の女性(本件被告)に対して不動産を贈与し,これが,相続人の遺留分を侵害する贈与になるかが問 題となり,特に「遺留分権利者を害することを知って」なされた贈与かが論点となりました。 2 裁判所は,被相続人について,開業以来刑事畑の弁護士として活躍し、昭和39年度から昭和46年度までの収入,所得状況を細かく認定した上で,被相続人は昭和34年には被告との間に子をもうけるとともに、その後も非常に健康であったことや,相続開始の約8年前の贈与ということであり、当時、被相続人は弁護士として相応の収入を得ていたことなどから、「遺留分権利者を害することを知って」なされた贈与とは言えないと判断しました。 3 裁判所は「損害を加えることを知ってなした贈与」であるか否かは、次のような要素から,将来財産が増加する可能性が少ないことを認識してなされた贈与であるか否かを判断すべきであるとし,本件については 「遺留分権利者を害することを知って」なされた贈与とは言えないとしました。 ・贈与財産の全財産に対する割合だけではなく ・贈与の時期 ・贈与者の年齢 ・健康状態 ・職業など 【掲載誌】 判例時報852号80頁
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