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共有に関するQA
私の父が亡くなり,遺産として父名義の土地があります。遺言はなく,相続人は私と兄の二人です。土地上には兄が建物を建てて家族と居住していますので,土地は兄に譲って,私は相当分の金銭を受け取ることで解決したいのですが,可能でしょうか?父の死亡後,兄と遺産分割協議をして,一旦,私と兄の二人の共有となった後で,やはり,金銭を受け取って共有部分を兄に引き取って欲しいと思った場合はどうでしょうか?
不動産に限らず,複数人が共同所有している法的状態のことを共有といいます。 共有状態が生じる理由は様々であり,お尋ねのように,相続の発生により共有状態となる場合や,共同して不動産を購入した場合に出損金に応じてそれぞれの名義として共有となる場合などがあります。また,婚姻した夫婦について,名義が何れか一方のものであっても,夫婦共有財産として推定されるという場合もあります。 民法は,すべて「共有」という用語で規定していますが,共有状態の解消の仕方(手続)については,当該共有の性質によって,それぞれ定めがあります。 1 遺産共有について お尋ねの件前段のように,遺言がなく,相続が発生し,複数の相続人がいる場合には,民法898条により相続財産は共同相続人の「共有」となります。 この相続によって生じた遺産共有を解消するためには,共同相続人間で遺産分割協議をすることとなります(民法906条)。 共同相続人による合意による限り,どのような遺産分割の定め方をしても構いません。ですので,お尋ねのご希望のように,土地についてのあなたの共有持分をお兄さんに譲る代わりに,お兄さんが金銭を支払うことに合意すれば,そのようにすることで共有状態が解消されることになります。 共同相続人間に協議が調わないとき又は協議をすることができないときは,各共同相続人はその分割を家庭裁判所に請求することができるものとされています(民法907条2項)。 よって,お兄さんとの間で金額を巡って争いになったり,そもそも遺産分割の方法を巡って協議が整わない場合は,家庭裁判所による遺産分割の調停を経て,さらに審判により,判断されるということになります。 家裁の審判により遺産分割がされる場合の遺産共有の解消の仕方としては,次のとおりです。 @現物分割・・・個々の財産の形状や性質を変更することなく分割する方法(土地の場合,分筆するということになります) A代償分割・・・一部の相続人に法定相続分を超える遺産を相続させたうえで,他の相続人に対して債務を負担させる方法 B換価分割・・・遺産を売却した上で,価格を分配する方法 C共有分割・・・遺産を民法249条以下に定める共有とする方法 あなたのご希望はA代償分割ということですが,家裁がいずれの遺産分割方法を取るかについては,遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して判断することになります(民法906条)。 この遺産分割による共有については,このホームページの遺産分割・共有に関するページを参考ください。
http://www.egidaisuke.com/legal_info/cat04/
2 民法249条以下の共有について お尋ねの件後段では,既に遺産分割がなされており,民法249条以下に定める共有となっている状態です。 この場合の共有物分割についても,当事者間の協議でその内容を自由に決めることができます。 そして,共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができますが(民法258条1項),この場合の管轄裁判所は地方裁判所になります。 裁判所が判決する場合の分割方法について,条文上は,@現物分割とA換価分割(競売)しか定められていませんが,判例によってB代償分割も認められています。 したがって,お尋ねの件後段については,お兄さんと話し合っても共有物の分割についての話し合いができないときは,地裁に対し,共有物分割の訴訟を提起するということになります。
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