時効に関するQA

時効の中断事由となる「請求」(民法147条1号)とはどのようなものですか?
1 「請求」とは,裁判所が関与する手続きをいい,訴訟提起が最も典型的なものになります。 その他,支払督促の申立て,民事調停の申立て,破産手続きにおける債権の届出といったものがあります。 2 訴訟提起 (1)訴訟提起は「請求」としての典型的な時効中断事由の一つですが,その効力は裁判所に訴状を提出した時点で生じ,被告への送達までは必要ありません(民訴法147条 大審院大正4年4月16日判決など)。 時効満了期間が迫っており,債務者に対し催告が届くかどうか不明などの場合には,早急に訴状を作成して裁判所に提出することが必要になります。 (2)訴えとしては,給付の訴えに限らず,確認の訴え,形成の訴江でもよく,反訴の定期でも構わないとされます。 また,原告として訴訟提起する場合のみならず,債務者が提起する債務不存在確認訴訟に対し,債権者として応訴し勝訴した場合も時効中断の効力が認められます(大審院昭和14年3月22日判決)。 さらに,抵当権設定登記抹消登記手続請求の訴えに対し,被告(債権者)が被担保債権の存在を主張したときにも,被担保債権の消滅時効は中断するというのが判例です(最高裁昭和44年11月27日判決)。 手形金請求訴訟において,手形権利者が手形を所持していなくても,また,白地手形の不補充のままであっても,時効中断の効力は認められます(最高裁昭和39年11月24判決,最高裁昭和41年11月2日判決)。 (3)訴えが取下げ又は却下となった場合,時効中断の効力は生じません。 訴えの却下,取下げがあった場合,催告の効果も生じないかどうかについて,破産申立ての取下げがあった場合に債務者に対する催告としての効果を認め,取下げ後6か月以内に他の強力な中断事由を取ることにより消滅時効の完成を阻止できるとした判例があります(最高裁昭和45年9月10日判決)。 (4)訴えの一部請求であることが明示されている場合,残部については時効中断の効果が及ばないというのが判例の立場です(最高裁昭和34年2月20日判決)。 3 支払督促の申立て 支払督促にも時効中断の効果が認められます(民法150条)。 ただし ,支払督促による時効中断においては,支払督促が債務者に対し送達されることが必要であり,債務者への送達ができない場合は時効中断の効力が認められないこ(大審院大正2年3月20日判決),また,公示送達による送達方法が認められていないことから(民訴法391条1項),債務者の居所が不明の場合などに支払督促によって時効中断しようとすることは避けた方が良いと考えられます。 4 調停の申立て 調停のも申立によっても時効中断の効力が認められますが(民法151条),相手方の不出頭などにより調停が不調となった場合には,1か月以内に「訴えを提起」することにより時効中断効が認められます(同条)。 「訴えの提起」には,訴訟の提起に限らず,差押や仮差押え,破産手続き参加なども含まると考えられています。 5 その他 (1)破産手続参加再生手続参加又は更生手続参加(民法152条) これらの手続において債権届出を行うことですが,債権者がその届出を取り下げ又はその届出が却下されたときは時効の中断の効力を生じません。 (2)破産手続開始の申立て 債権者による破産手続きの開始の申立ても時効中断の事由とされています(最高裁昭和35年12月27日判決)。
【法律相談QA】
法律相談の時間の目安はどのくらいですか? メールで相談することはできますか? 法律相談の料金はいくらですか? 費用が幾らくらいかかるのか不安です


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