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【裁判例】 民法166条1項の「権利を行使することができる」の意義 最高裁判所昭和45年7月15日
1 事案としては,借地権を巡って,賃貸人と借地人の間で紛争となり,賃貸人が地代の受取を拒絶したため,借地人は地代を供託しました。 両者の紛争は10年越しとなり,最高裁で和解が成立することでようやく紛争が解決しました。解決としては,借地人が賃借権が存在しないことを認めた上で土地を明渡,賃貸人はその間の地代については放棄するということでまとまりました。 そこで,借地人はそれまで供託していた金員を取り戻したいとして請求しましたが,供託所(国)は,供託してからすでに10年が経過しており消滅時効が成立しているとして拒みました。 2 最高裁では,民法166条1項の「権利を行使することができる時」とは,単にその権利の行使につき法律上の障害がないというだけではなく,さらに権利の性質上,その権利行使が現実に期待のできるものであることをも必要と解するのが相当である,としました。 供託者は供託した金員をいつでも取り戻せるのですが,それをしてしまったら,争っている賃貸人から借地契約を解除されてしまうのであり,紛争が続いている間は,借地人が供託した金員の取戻しを現実に期待することはできません。 本件でも,そのように判断され,国による消滅時効の主張は認められませんでした。 なお,国からは,供託物の取戻し請求権の消滅時効の期間は,会計法の定めにより5年であるという主張もされましたが,10年であるとも判断されています。
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