時効に関するQA

消滅時効期間が完成した債権で相殺することは出来ますか?消滅時効の援用をするまではその時点までの反対債権を受働債権として相殺することができますか?
1 民法508条は「時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。」と規定しています。 これは,相殺できる状態に達した時は,特に意思表示をしなくても,当然に清算されたように考えて,その後の時候中断手続に意を用いなくなるから,このような債権者の信頼を保護する趣旨であるとされています。 したがって,時効期間が完成してしまった債権であっても,債権者は,時効消滅するまでに相殺することができた反対債権(時効消滅する債権の債権者にとっては債務)と相殺することができます。 2 なお,時効は当事者が援用しなければ裁判所は取り上げることができないとされています(民法145条)。 そこで,当事者が消滅時効の援用をするまでの間に生じた債権についても相殺の対象となるかが問題となります。 例えば,AがBに対して貸金として200万円の債権を有していたが平成24年2月に消滅時効期間が完成したとします。 これに対して,Bは,Aに対して,月額10万円の賃料債権を有していたとします。 平成24年7月に,Bから貸付金債権の消滅時効を援用しつつ,Aに対して平成23年1月から平成24年7月までの賃料合計190万円を請求されたという場合,Aは平成24年7月までの賃料債権全額190万円との相殺を主張できるのか,それとも,消滅時効が完成した平成24年2月までの130万円についてのみしか相殺の主張ができないのかが問題となります。 これについては,最高裁判所昭和39年2月20日があり,自働債権(本件でのAの貸付債権)について時効が完成する以前に相殺適状にあった時までの債権額についてしか相殺することは出来ないとしています。 時効については援用がない限り完全な債権として取り扱わなければならないはずであり,援用があるまではその時までの反対債権を相殺することができるとする上告理由を排斥しています。 これは,時効期間完成後に発生した債務(反対債権)についてはそもそも相殺に供するという当事者の期待がないためです。
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