個人の債務整理 過払金に関するQA

一連計算(取引の個数),過払金の充当合意に関する問題3〜基本契約の締結がなく,かつ,過払金発生時に他の別口の債務も存在しない場合
【問題の所在】 一連計算(取引の個数),過払金の充当合意に関する問題1http://www.egidaisuke.com/legal_info/cat09/q5_02.phpにおいて,次のような設例を引きました。 ※平成1年に貸金業者と取引を初めて,平成10年に完済となりその時点で100万円の過払金が生じていた(第一取引)。 しかし,その後は取引がなく,完済から8年経過した平成18年に100万円を借り入れて,再び取引を初めて(第二取引),現在(平成24年),第二取引では残債務が200万円である。 この場合に,第一取引の際に基本契約を取り交わしていない場合があります。大手の消費者金融業者では極度額を設定して貸付けと返済を継続的に行うという内容の契約が多いので,あまり見かけませんが,小さな貸金業者ですとこのような基本契約なしの貸金契約というものもあります。 このような場合に,平成10年当時に発生した過払金について,それより以降の第二取引で発生する借入金に対し充当するという過払金充当合意が認められるかが問題となります。 【考え方】 1 継続的な貸付けが予定されておらず(基本契約の不存在),かつ,過払金が発生した当時に,当事者間に別口の債務も存在しない場合について,最高裁判所平成19年2月13日(最高裁判所民事判例集61巻1号182頁・判タ1236号99頁・判時1962号67頁)があります。  判例は,「貸主と借主との間で,基本契約が締結されているのと同様の貸付けが繰り返されており,第1の貸付けの際にも第2の貸付けが想定されていたとか,その貸主と借主との間に第1貸付け過払金の充当に関する特約が存在するなどの特段の事情のない限り」,第一取引で発生した過払金は,第二取引の貸付けに係る債務には充当されないとしました。  この判例のケースでは,第一取引は,平成5年3月26日に貸付金300万円としてなされましたが継続的な貸付けを予定しているものではありませんでした。そして,この第一取引について,平成5年4月26日から平成15年12月19日までの間,弁済が行われましたが,利息制限法所定の利率で引き直した場合,平成8年10月31日以後,過払金が発生している状態でした。 当事者間では,さらに,第二取引として,平成10年8月28日に100万円を貸し付けられ,これについては,当初は翌月に一括弁済するというものでした。  このような事案で,最高裁は,平成8年10月31日に発生していた過払金を平成10年8月28日に借り入れた100万円に充当することを認めませんでした。  考え方との基本にあるものして,基本契約の締結がなく,かつ,過払金発生時に他の別口の債務も存在しない場合には,第一取引についての弁済はあくまでも第一取引の債務に対する弁済であり,第二取引の債務に対する弁済ではないという所でしょう。 2 なお,仮に,第二取引の開始が過払金の発生よりも以前であり,過払金が発生した当時,第二取引から発生した債務が存在していた場合は,どのように考えるべきでしょうか(基本契約はないものとします)。  この場合,一定金額の貸付けを数口に分けてしまえば元本充当の考え方を潜脱できてしまうということから充当を肯定する考え方もありますが,あくまでも弁済がどの取引についての債務のものかという対応関係を重視するという判例の立場からすると,この場合にも,第一取引で生じた過払金は第二取引に充当されないのが原則であるという考え方も有力です。 【関連QA】 一連計算(取引の個数),過払金の充当合意に関する問題1 一連計算(取引の個数),過払金の充当合意に関する問題2〜基本契約がある場合で,かつ,過払金が発生した当時に別口の債務も存在する場合 一連計算(取引の個数),過払金の充当合意に関する問題4〜複数の基本契約が締結されている場合 一連計算(取引の個数),過払金の充当合意に関する問題5〜自動更新条項付の複数の基本契約が締結されている場合 【法律相談QA】 法律相談の時間の目安はどのくらいですか? メールで相談することはできますか? 法律相談の料金はいくらですか? 費用が幾らくらいかかるのか不安です


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