個人の債務整理 過払金に関するQA

一連計算(取引の個数),過払金の充当合意に関する問題1
近時,相次いでいる最高裁判所の過払金に関する一連の判決により,一連計算(取引の個数)・過払金の充当合意に関する問題がクローズアップされています。 消費者金融会社としても,この論点を争うことも多いです。 【問題の所在】 単に,貸金業者から100万円を借り入れて,返済し続けて完済した場合に過払金が出たという場合には,単に過払金を請求するというだけですので,この論点は問題にはなりません。 次のような場合に問題となり,実務上も消費者金融側と争いになります。 例えば,平成1年に貸金業者と取引を初めて,平成10年に完済となりその時点で100万円の過払金が生じていたとします(第一取引)。しかし,その後は取引がなく,完済から8年経過した平成18年に100万円を借り入れて,再び取引を初めて(第二取引),現在(平成24年),第二取引では残債務が200万円であるとします。 第一取引と第二取引が別個の取引であるとすると,平成10年に生じていた100万円の過払金返還請求権は発生から10年の経過により時効消滅となり,現在の残債務100万円だけが残ることになります。 しかし,第一取引と第二取引が一体のものであり,平成10年に過払金100万円を第二取引の最初の債務の返済に充当することができれば,平成18年の最初の借入額は0円となり,現時点での債務は大幅に減少するか,逆に過払いを生じているということになります。 貸金業者にとっても,借り手にとっても,結論を左右する大きな問題なので,争われることになります。 論点の捉え方によって,一連計算の問題と言ったり,取引の個数の問題と言ったり,過払金の充当合意に関する問題と言ったりしますが,基本的には同じ問題であると考えます。 【考え方】 上記のような設例にもいくつかのパターンがあるのですが,基本的には,第一取引で生じた過払金債務を,第二取引での借入金債務に充当するという当事者間の合意(過払充当合意)が認められるかどうか,という事実認定の問題になります。 その際,Aという契約に基づいた債務(A債務)とBという契約に基づいた債務(B債務)があった場合に,あくまでもA債務に対する弁済として支払われたものはA債務のみの支払いに充てられ,B債務には充当されないという考え方が基本になります。 そうすると,A債務として弁済がされた時点で(実際には過払いとなっています),B債務が存在していなければ,その後にB債務が発生したとしてもB債務には充当されないというのが原則になります。A債務の弁済がされた時点で,B債務が発生していなければ,それはあくまでもA債務の弁済としての意味しかなく,そもそもB債務に充当するということが考えられないからです。 A債務(実際には過払いとなっています)とB債務が同時に存在した場合であっても,あくまでもA債務の弁済としてなされたという場合には,B債務への充当は否定されるはずです。A債務の弁済がB債務に対する弁済として評価してもよいような場合に,A債務で発生した過払い金をB債務に充当することができるということになります。 私は,判例の原則的な考え方としては,上記のようなものだと理解しています。 そして,過払充当合意が認められれば取引の個数は1個であり一連計算するということになり,認められなければその逆ということになります。 【関連QA】 一連計算(取引の個数),過払金の充当合意に関する問題2〜基本契約がある場合で,かつ,過払金が発生した当時に別口の債務も存在する場合 一連計算(取引の個数),過払金の充当合意に関する問題3〜基本契約の締結がなく,かつ,過払金発生時に他の別口の債務も存在しない場合 一連計算(取引の個数),過払金の充当合意に関する問題4〜複数の基本契約が締結されている場合 一連計算(取引の個数),過払金の充当合意に関する問題5〜自動更新条項付の複数の基本契約が締結されている場合 【法律相談QA】 法律相談の時間の目安はどのくらいですか? メールで相談することはできますか? 法律相談の料金はいくらですか? 費用が幾らくらいかかるのか不安です


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