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遺言に関する裁判例

【裁判例】 脳動脈硬化症のあった遺言者の遺言能力 東京高等裁判所 昭和52年10月13日
遺言能力を認めなかった事例です。 【事案の概要】 1 遺言者(当時六64才)が昭和27年12月頃脳溢血のため倒れ,その後死亡するまでの期間は約12年でした(死因は,脳溢血後遺症としての脳軟化症・冠状動脈硬化症に基因する心臓衰弱)。   本件遺言が作成されたのは,死亡する約1年2ヶ月前でした。 2 遺言者は脳溢血の発病後,顕著な手足の運動麻痺も残らず、直後のような極端な言語障害もなく、昭和32年頃までは犬を連れて散歩や建てた家屋の建築現場に出向いたりなど平穏な生活を送ったようですが,一方で,発病後は一切仕事に就かず、公的な場所にも顔を出さなくなる,家族との会話も乏しくなるなどの生活の変化もあったようです。裁判所は,このような人格変化的な事情を重視しています。 3 鑑定によると,遺言者には本件遺言当時中等度の人格水準低下と痴呆がみられ、是非善悪の判断能力並びに事理弁別の能力に著しい障害があったとされています。   裁判所は,次のようなエピソードから,鑑定の結果を相当として,本件遺言者の遺言能力がなかったとして遺言を無効と判断しました。   ・遺言者は子どもたちのどの結婚式にも出席しなかったことについて,父として結婚式に出席することを憚らなければならない程度の障害(最も強く推定されるのは出席者と応対し会話を交すうえでの障害である。)の存在や無気力さを推認させる。   ・遺言者の誕生日を祝して家族がが集まった際に収録した録音テープ上の遺言者の発言はきわめて僅かで、当時の遺言者の言語障害や無気力、無関心の度合いがかなり進んでいたものであることを窺わせる。   ・遺言者と養子の間で,養子縁組無効確認事件が怒ったようですが,昭和38年5月に家庭裁判所調査官が遺言者を自宅に訪問して調査した際,遺言者は言語が明瞭でなく,調査官は親族から説明を求めたうえでそれを遺言者に確めるという形で調査しなければならなかった。 4 遺言者がり患した脳動脈硬化についても述べられています。   ・脳動脈硬化基因する精神障害(脳動脈硬化症)の中心症状は進行性の精神機能低下で、知能の領域では痴呆として、情意の領域では性格変化として現れる   ・精神機能全般の低下の結果として、注意・記憶・計算・理解・思考が不良となり、正当な判断が妨げられ、また感情が鈍くなり、自発性が低下して、日常の精神生活の内容は貧困・空疎なものとなる。   ・そして数年ないし10数年のうちに症状が少しづつ進行して高度の障害となる。 【掲載誌】  東京高等裁判所判決時報民事28巻10号259頁        判例時報877号58頁
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